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■ 蔵元の地域貢献&エコ活動(蔵元の品格)


蔵元の地域貢献活動

酒造りは地域の経済・農業・文化に深く根ざしています。現在多くの蔵元が地元住民との交流活動を開催し、地域観光の振興にも貢献しています。蔵元と地域社会との関係は切っても切れないものです。ここでは全国の蔵元が取り組んでいる地域貢献活動をご紹介します!

■白鶴酒造株式会社 (兵庫県) ―灘を代表する蔵元として観光・文化・教育振興に貢献―

[白鶴酒造資料館]
昭和40年代初期まで実際に清酒醸造に使われていた旧本店一号蔵を改造して開設。内部は昔ながらの構造をそのまま保存し、作業内容を再現するため等身大の人形を配置。清酒が製造される工程を分かりやすく展示しています。

白鶴酒造:資料館

[白鶴美術館]
七代目の社長にあたる嘉納正久(かのう まさひさ)氏が昭和9年に設立した、私立としては有数の伝統を誇る美術館。中国古代の陶磁器や、書画をはじめとする第一級の美術品、工芸品のコレクションは、我が国屈指の内容。毎年多くの観光客が訪れ、灘地区の地域振興に貢献しています。

白鶴酒造:美術館

[灘育英会]
私立灘中学校(現在、灘高等学校)は昭和3年に地元子弟、特に酒造関係者の教育を目的として設立されました。以来多くの人材を輩出し、我が国を代表する名門校となりました。白鶴酒造は設立から現在の事業運営に至るまで支援を続けています。

白鶴酒造:灘高校

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■田苑酒造株式会社 (鹿児島県) ―自社所有の焼酎資料館でクラシックコンサートを実施―

[田苑酒蔵サロンコンサート]
地域文化の向上・活性化また企業イメージの高揚を目標に、春と秋の年2回「田苑酒蔵サロンコンサート」を開催。会場は焼酎の歴史や技術の変遷を後世に伝える焼酎資料館(実際に使われていた酒蔵)で、平成14年に開始したクラシックコンサートのイベントです。出演者は鹿児島出身の若手演奏家を中心に、蔵元独自で選定しています。観客は酒蔵の独特の雰囲気の会場で、クラシックの演奏や歌に聴き入り満喫できます。全てが手作りのコンサートは、リピーター率8割を超える地域の恒例イベントとして定着しています。


田苑酒造:焼酎博物館 田苑酒造:サロンコンサート

■M田酒造株式会社 (鹿児島県) ―農業生産法人「M田農学部(株)」を設立 地元農業を通じて食育を!―

[伝兵衛愛農塾]
M田酒造は、今年4月に一般消費者に農業体験を通じて食育や農業の大切さを学ぶ体験型塾「伝兵衛愛農塾」を開講。塾生を募集し、焼酎の原料となるサツマイモ植え付け・収穫・仕込みを行う企画を実施しています。地元いちき串木野市における耕作放棄地を利用することで、地元農業の復興を目指しています。地元の人々と交流する場をつくるとともに、芋焼酎造りを通して地元農業に携わることで積極的な食育を図り、「地産地消」の大切さを広くPRしています。

濱田酒造:伝兵衛愛塾 濱田酒造:伝兵衛愛塾

■霧島酒造株式会社 (宮崎県) ―地域に根ざした多目的ガーデンパークを運営―

[霧島ファクトリーガーデン]
「霧島ファクトリーガーデン(宮崎県都城市)」は、霧島酒造志比田工場内にあり、産業・文化・ふれあいをテーマにした施設が融合したガーデンパーク。地域に根ざし、人々に愛される場を提供する目的から創業80周年を迎えた1996年にオープンしました。本格焼酎の醸造施設をはじめ、レストラン、ショップ、多目的ホール等の文化施設、ビーチバレーコート、ゴルフコース等を併設した都城市の観光スポットとなっています。諸施設を案内する見学ツアーも開催。毎年「ビーチバレーサーキット宮崎大会」や「霧島花まつり」などのイベントも開催しており、多くの地元住民や県外からの観光客が訪れています。

霧島酒造:霧の蔵ホール 霧島酒造:ビーチバレー大会

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蔵元のエコ活動

今日、環境問題対策への取り組みは業界・業種を問わず、あらゆる企業で重要視され、避けては通れない問題となっています。
酒類業界も同様、様々な課題を抱えています。特に焼酎を製造する過程で発生する焼酎粕は、アルコール分解を経た芋・麦・米などの有機物と水分を90%以上含むもので、液状であることや重量があること、さらに特有の臭気があることから処理が難しいものでした。これまでは主に海洋投棄されていましたが、ロンドン条約に基づく環境保護の観点から2001年から海洋投棄そのものが禁止さました。
酒類メーカーではこの蒸留粕の処理が緊急の課題となり、海洋投棄に代わる新しい処理対策が考案・実施されています。
ここでは全国の蔵元の取り組みをご紹介します。

■株式会社比嘉酒造 (沖縄県) ―メタンガス発酵処理によって泡盛蒸留粕のエネルギー有効利用を確立―

比嘉酒造は平成14年にバイオガスプラントを建設。工場の生産ラインから排出される泡盛蒸留粕や米洗汁をメタン発酵処理することで、電気・熱エネルギーに変換し有効活用しています。 生産量が年々増加している泡盛。これに伴い、製造副産物である泡盛蒸留粕の排出量も増加傾向にあります。これまで泡盛蒸留粕は、主に飼料(養豚)や液肥として利用されてきましたが、養豚業者が減少したことや、県内には施肥できる農地面積が限られていることにより、リサイクルしにくい状況にあります。このような中、泡盛蒸留粕は堆肥化や活性汚泥処理、焼却処理が行われているのが現状ですが、これらは全てエネルギー消費型の処理になります。
これに対し比嘉酒造が採用したメタン発酵処理では、泡盛蒸留粕を処理する際に発生するバイオガスを独自のシステムで電気、および熱エネルギーに変換。現在ほとんど利用されていない泡盛蒸留粕のエネルギー利用の確立と環境にやさしいシステムの普及を図っています。

比嘉酒造:バイオガスプラント

■雲海酒造株式会社 (宮崎県) ―焼酎粕の飼料化・肥料化を実現。良質素材で海外への輸出も開始―

雲海酒造は、平成9年に焼酎粕を飼料に変える取り組みを開始。全蔵で年間に排出される焼酎粕の廃液はなんと4万トン!これらを綾町にある蔵の飼料化プラントで処理しています。この技術は平成16年に文部科学大臣賞を受賞。また飼料事業と同時に肥料化にも取り組み、完全リサイクルを行っています。畜産が盛んな南九州において家畜飼料として「雲海TMR」のブランドで有効に活用され、地域貢献の一翼も担っています。
雲海酒造の飼料は、良質で消化・吸収に優れており肉牛の発育に良いと評判を得ています。平成16年には中国に飼料輸出を開始。畜産業者へ定期的に出荷しており、今後は韓国への輸出も開始する予定です。

雲海酒造:飼料化プラント 雲海酒造:飼料

■大海酒造協業組合 (鹿児島県) ―産業廃棄物の排出抑制・減量化に成功。焼酎粕の完全リサイクルを目指す―


大海酒造は工場に密閉型焼酎粕タンクを設置することで、異臭の発生問題を解消しています。また密閉型のため雨水・汚水・異物混入等の防止にも一役買っています。蒸留器と直結することで、経路洗浄水が不要となり、産業廃棄物の排出抑制率・減量化率の向上(年間14,000k?を12,000k?以下に抑制可能)を図ることに成功しました。焼酎粕の腐敗を防止できる為、農地還元時の異臭を解消し、粕処理業者への委託をスムーズに行っています。また腐敗粕の分離、汚泥処理のコスト削減にもつながっています。
現在は特殊肥料としての商品販売を実施していますが、将来鹿児島大学で研究されている飼料としての有効活用が期待でき、有価物として販売する予定です。またバイオ処理業者へ焼酎粕を提供し、焼酎粕の完全リサイクルが可能となります。

大海酒造:密閉型焼酎粕タンク

■株式会社紅乙女酒造 (福岡県) ―環境にやさしい資源循環型企業を目指す―

紅乙女酒造は1986年に製造工場設立と同時に排水処理施設を設置。焼酎造りの際、原料となる麦や米を洗う時に発生する「とぎ汁」に含まれる微生物を分解し、きれいな状態で排水をしています。また工場付近河川の汚染防止のため、工場内の機械や道具、仕込みタンクの洗浄には全てお湯、または水のみを使用。また2000年には蒸留カス排水処理を設備。国が定めた海洋投棄の禁止に伴い、中小企業ではいち早く設置しました。再資源化として牛の飼料や肥料に役立てています。

紅乙女酒造:排水処理設備 紅乙女酒造:蒸留粕処理工場

■ヘリオス酒造株式会社 (沖縄県) ―工場から排出される廃瓶を琉球ガラスに再利用―

ヘリオス酒造:ガラス制作工房、廃瓶

 ヘリオス酒造では、工場から排出される廃瓶を沖縄特産の琉球ガラス(※)に再利用する取り組みをしています。工場から排出される廃瓶は、最も多い時で年間なんと16.5トン!この廃瓶を何とかして再利用できないものかと考えていた時、代表銘柄商品である古酒「くら」に使用する瓶が稲嶺盛吉氏(現代の名工)のガラス工房特有の泡ガラスに最適だというとことが判明。それ以後、(有)宙吹ガラス工房 虹様に無償で瓶を提供しています。現在、コストの面で新ガラスから作られることが多い中、廃瓶からできる琉球ガラス製品は減少しているとのこと。環境問題においてリサイクルが重要視される現代において、独特のガラス製法というだけでなく環境にも配慮した製品と言えます。ヘリオス酒造は酒造りへのこだわりだけでなく、環境と地域文化を大切したいという企業理念を基に取り組んでいます。
(※)琉球ガラス:丸いフォルムに鮮やかな色遣いが特徴の沖縄県の伝統工芸品。戦後物資が貧しい時代、米軍が排出する飲料ガラス瓶をリメイクして作られたガラス製品が発祥。平成10年に沖縄県の伝統工芸品に認定され、名実ともに沖縄を代表する工芸品の一つになりました。


■高の井酒造株式会社 (新潟県) ―自然環境を最大限に活かした伝統的な“雪中貯蔵法”―

高の井酒造は、昭和62年に日本で初めて “雪中貯蔵法”による酒造りに挑戦!これは生酒が入った約5,000L〜10,000L容量のステンレスタンクを雪中に埋め込み、貯蔵温度0度、湿度100%、空気対流0の状態で約100日間貯蔵する貯蔵法です。雪には空気をきれいにする効果があることから、麹菌や酵母菌などの微生物を使う酒造りには最適。温度は約0℃とほぼ一定で、極端な温度変化がない為、清酒に含まれる酵素や澱粉質、タンパク質がゆっくりと分解・熟成し、淡麗でまろやかな味に仕上がります。
この“雪中貯蔵法”は、蔵内で貯蔵するよりもはるかに省エネで低コスト、かつ品質の高い酒造りを可能にしています。自然の環境を最大限に活かした、自然にやさしい伝統的な貯蔵法です。

高の井酒造:雪中貯蔵作業 高の井酒造:雪中貯蔵作業 高の井酒造:雪中貯蔵作業

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健康食品「もろみ酢」に注目!!
―焼酎粕の可能性から誕生した「もろみ酢」―

「健康に良い」との事で注目が集まっているもろみ酢。麹や酵母菌が作り出した発酵エキスであるクエン酸・アミノ酸などの各種成分が含まれおり、それら天然の成分を活かして出来上がった飲料として販売されています。
皆さんは、このもろみ酢が、焼酎や泡盛の製造工程中に排出される蒸留残液から造られていることをご存知ですか?もろみ酢製造の発端は、焼酎粕の廃棄処理が問題化したことにありました。海洋投棄の処理方法が規制され、酒類業界では様々な活用法の模索が続きました。飼料として試したところ、焼酎粕は栄養価が高く機能性に効果があることが実証されました。そのような中、健康食品へ応用できないかという考案から研究が重ねられ、誕生したのです。現在では焼酎・泡盛の蔵元で造られ、全国で愛飲されています。

★蔵元が造る、こだわりのもろみ商品をご紹介★
■株式会社奄美大島開運酒造 (鹿児島県)
「純 美酢」900ml 
■田苑酒造株式会社 (鹿児島県)
さつまいも天然クエン酸飲料「もろみ酢」720ml
■株式会社比嘉酒造
「まさひろもろみ酢 黒糖はちみつ入り」700ml
「まさひろもろみ酢 無加糖ドライ」700ml
■合名会社新里酒造
「もろみ酢(ストレート)」900ml
「もろみ酢(黒糖入り)」900ml
「もろみ酢ドレッシング」220ml
「もろみ酢せっけん」


以上のように、各蔵元が様々な取り組みをされています。しかしここでご紹介した活動はほんの一部・・・地域貢献活動やエコ活動への取り組みを見て分かるように、蔵元はただお酒を製造するだけの企業ではなくなりつつあります。
酒造りを通して地域社会に対して取り組めること、また事業を運営するうえで取り組むべきことは数多くあり、その模索への道は続きます。
率先して課題に取り組み、社会に役立つ企業を目指したいという姿勢にこそ、蔵元の“品格”が備わり、その信念と熱意が蔵元の“品格”を上げるのでしょう。