ホーム > 造りの美学 > 芋焼酎 種子島酒造株式会社

造りの美学

芋焼酎 種子島酒造株式会社『芋を知り、旨さと夢を育む焼酎蔵』

蔵紹介

自社農園

日本で初めて甘藷(さつまいも)栽培をした地である種子島に明治35年に創業した歴史ある蔵元。従業員30名、年間出荷石数7,000石と、島内でも最も生産規模の大きな蔵元です。

原料となる芋は自社農園にて栽培から収穫に至るまで手掛け、芋の品種により味わいの異なる焼酎を製造。創業以来の伝統ある甕壷仕込みで各種の芋焼酎を製造しています。

蔵 人

工場長 兼光 賢二

工場長 兼光 賢二 様
65歳
山口県 ご出身

昭和37~平成3年まで焼酎・清酒・ワイン・ウィスキー・ブランデー、その他食品の製造・研究開発に携わった幅広い経験をお持ちです。平成18年まで醸造機械メーカーに勤務。その後、平成18年~20年5月まで中国での焼酎製造の仕事を経て、平成20年6月より種子島酒造へ赴任。原料の自社栽培に取組む種子島酒造で本格芋焼酎を造りたいという強いご希望のもと種子島酒造へ入社されました。

レポーターの那須社員

工 程

原料処理

蔵の自社農園では15年前から栽培をスタートし、耕起・苗床つくり・植え付け・生育・収穫の全てを自社で取り組んでいます。
年間でおよそ1,500トン(!) の芋を生産。この日は「安納紅」 と「安納黄金」を5トン収穫しました。

安納紅、安納黄金

収穫されたばかりの芋は芋洗浄機で水洗いされ、一つ一つ不要部分が除去されます。その後は自動蒸器でホクホクに蒸され、工場内には甘~い芋の香りが漂います。

「納得のいく芋で焼酎を造りたい。良質な原料を自社で調達できるのは私たちの強みです!」と兼光工場長。

芋洗浄機、自動蒸器

ココが美ポイント!

良質な芋を育てるために、貝化石や酵素を土壌に混ぜてミネラルや微量成分を補強。さらに焼酎粕を堆肥として再利用するなど、エコな取り組みも!減農薬農法栽培で「安全・安心・健康」を合言葉に、100%自社農園栽培を目指されているそう。美味しい焼酎造りは畑づくりから始まるのですね。
自社農園

製麹

麹造りは製造工程の中でも重要な作業の一つ。良質な麹を造るために洗米後は適度な水分を吸収するように浸漬します。芯まで丁寧に蒸し上げたら通風製麹三角棚へ。蒸した米を40℃位に冷やし、麹菌をまぶします。35~36℃で約42時間掛けて全面に菌糸が繁殖するように手入れし、クエン酸が十分に出るように低温経過をとります。
ハゼつきが良く、強い酸をつくるしっかりとした麹を造ることが良い酒質につながるのだそう。「タイ米など試しましたが国産米がベストでした!」と兼光工場長。幾度となく試行錯誤して良いものに辿り着くのですね。

製麹の様子

一次・二次仕込み

一次仕込みでは麹を水と共に仕込み、さらに酵母を添加して約1週間かけて発酵させます。中を覗くとブクブクと激しく発酵している様子が一目瞭然!仕込みは温度管理が命。1時間おきの攪拌作業は欠かせません。

攪拌作業の様子

二次仕込みでは一次仕込みを経たもろみに蒸した芋と水を加えて約2週間仕込みます。酵母が繁殖して約16度のアルコール分ができます。
手を掛けて加工した芋ともろみが初対面する二次仕込み。兼光工場長曰く、甘酸っぱい香りが健全なもろみの証拠なのだとか。「焼酎造りの大部分は酵母と麹が大きな働きをしてくれます。だからこそ蔵人はそれを管理し、厳選した原料にこだわるんです。」と語って下さいました。

二次仕込みの様子

ココが美ポイント!

種子島酒造では、なんと明治36年創業からの和甕を仕込みに使用しています!蔵には約50個の和甕があり、純粋化した家付き酵母が染み付き、微妙な風味を醸し出しているとのこと。全国でもステンレスタンクや中国製の甕壷が使用されることが多い中、100%国産の和甕は蔵の貴重な宝!取材中は「種子島紫芋」「安納黄金芋」「白豊芋」が仕込まれている最中でした。それぞれの芋で色が全く違うのが分かります。とても鮮やかな色に感動!芋の甘い香りが蔵中をフワッと包み込みます・・・
和甕

蒸留

蒸留作業

仕込みの次は蒸留作業。蒸留器からは出来たてほやほやの原酒、初垂れ(ハナタレ)が流れ出ます。早速、ドキドキしながら初垂れを試飲!生温かく、まだ荒々しい味わいといった印象です。ここではアルコール度数が60度もあり、このあと和水して度数を調整していきます。

蔵人の方々にとって初垂れの香りや味をチェックするのは緊張の一瞬なのだそうです。生まれたばかりの焼酎に嗅覚・味覚を研ぎ澄ませながらテイスティングする工場長の表情は真剣そのものでした・・・まさに職人の顔!

ろ過

ろ過機

蒸留したばかりの原酒はフーゼル油と呼ばれる油性成分などを多く含んでいるので、いったん冷却し焼酎に含まれる油分を凝固させてすくい取ります。その後、この幾重にも重なったろ過機のフィルターを通して不溶物を取り除きます。
種子島酒造では蒸留したままの状態で瓶詰めする無ろ過焼酎「種子島 金兵衛むろか」も販売しています。原料本来の旨味成分と持ち味が活かされた風味も人気です!

熟成

種子島酒造では素焼きの甕壷による貯蔵熟成も行っています。甕からの無機物の溶出や、甕の呼吸作用で焼酎をマイルドにさせる効果があるのだそう。
それぞれの甕をじっくり見てみると・・・大きさや形が違う!これは手作り和甕の特徴なのだとか。甕によって微妙に原酒の味わいが変わるというから不思議ですよね!まるで個性をもった生きもののようです。

甕壷

精製びん詰

ここでは「久耀(くよう)」が瓶詰めされていました。瓶詰めしたボトルは光に透かして異物混入などがないか厳しくチェックされます。ボトルチェック後にはラベル貼りも挑戦。お店に並んだ時、お客様が最初に目にされるものだからこそ、一本一本に想いを込めて・・・

ボトルチェックの様子

ここは出荷される商品を専用のダンボールカートンに箱詰めするところ。ラベルが剥れないようにボトルの向きを調整しながら注意して詰めていきます。蔵から出荷された後は、どんなお客様の元へ届けられるのでしょうか・・・「いってらっしゃい!美味しく飲んでもらうんだよ!」と想いを込めて送り出します。

箱詰めの様子

販売所と番外編

事務所には製品や蔵のオリジナルグッズがずらりと並ぶアンテナショップが併設されています。
店内には蔵特製の甕サーバーが置かれ、試飲もできます。立ち寄った観光客の方々に大好評!事前に連絡すれば、農園を見学することも出来ます。

アンテナショップの様子

インタビュー/コメント

従業員集合写真

味・香り・音・色・手触りがイメージ通りになっているか、巧く調和しているか常に気を配っています。 焼酎造りは杜氏の経験や研ぎ澄まされた五感で吟味されることも多いんですよ。その節々の判断によって全く違う味に仕上がったりもする。私にとってこれほど面白い仕事はありません。ずばり“造りの美学”とは、麹・酵母・芋と会話し、要求されたことを一つずつクリアしていくことだと思います。

焼酎はまさに生きものですから、“会話”するつもりでそのときの状態や日々の変化を観察します。手間ひまかけて造り上げた焼酎たちですから、飲む人をワクワク感動させ、コミュニケーションの場で人と人を繋ぐものとして美味しく飲んで頂きたいですね。

種子島酒造の蔵人は造りに情熱的な者ばかりです。
共に皆様に喜ばれる焼酎造りを目指していきます。

種子島酒造株式会社

取材感想:実際に焼酎造りを体験して、想像以上に体力の要る作業が多いことに驚きました。商品が私達の手元に届くまでに、実に多くの方が作業に携わっていることを身を持って実感。特に印象的だったのが、蔵の皆さんが自分達の蔵や畑、そして郷土を愛していらっしゃる姿でした。造りに対する熱意が素晴らしい商品を生み出すのですね。一杯飲む度に、皆さんの姿を思い浮かべると思います。「全国の焼酎ファンに旨い焼酎を飲んでもらいたい!商品を通して島の魅力を伝えたい!」造りに注ぐ情熱そのものが蔵人の方々の“美学”なのではないでしょうか。愛情込めて届けられる焼酎はまさに種子島からのラブレター!蔵の皆さんの想いは、焼酎を通して多くの方々に届いていることでしょう。レポーター:那須