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【お蔵探訪記】篠崎 ~その1.蔵人の挑戦 清酒「比良松」の誕生~

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2015年7月、福岡県朝倉市、篠崎に行って参りました。

株式会社篠崎 福岡県朝倉市比良松185番地

蔵が位置する朝倉市は、山々に囲まれており、梨や林檎など果樹の生産が盛んに行われ、平地には田園風景が広がっています。
市南部には九州最大の筑後川が流れ、日本最古の三連水車も残っており、「福岡都市圏の水のふるさと」と呼ばれています。
また、筑前の小京都とも呼ばれる朝倉は、城下町の雰囲気を残しており、篠崎の周囲も白壁造りに囲まれています。

白壁つくり

清酒製造業から始まった篠崎は、江戸時代後期の創業より、朝倉の自然豊かな土地でお酒を造リ続けている蔵元です。

篠崎といえば「国菊のあまざけ」。非常に人気の高いブランドで、甘酒の生産量は年間1万石!
麹造りの技術が最大限に活かされ、原料に発芽玄米や黒米を使用したものから、米麹100%の甘酒まで豊富なラインナップとなっています。

もちろん、甘酒だけではありません。篠崎の造る製品は、焼酎、清酒、リキュールと多岐に渡ります。
その部門ごとにそれぞれのエキスパートが造りに携っており、一つ一つの部門が高い評価を受けています。そして近年篠崎では様々な「新しいこと」にチャレンジしています。

その一つが、創業当初より醸してきた清酒に改めて注目した新ブランド「比良松」。
挑戦への声を上げ、その中心にいらっしゃる篠崎部長に、今回お話しを伺いました。

比良松シリーズ

「比良松」 こだわりのポイントは

1.味の転換 -味にこだわる 目指すは「あまうまくち」
過度な甘みではなく、お米本来の香りや甘みを重視しました。「あまうまくち」という表現がピッタリです。そして、最後は酸でキュッと締める。そのような味わい造りをしています。

2.徹底的な地産 -地産にこだわる
まずはお米の造りからこだわろうと決意しました。やはり地産のお米を使用したいと思い、地元農家の方々に「山田錦を作ってください!」とお願いをしました。
そして地元を中心に、4地域の農家よりお米をいただいています。4つに分けたのは、天候不順等により、不作となった場合に、お客様にお酒が届けられなくなることを避けるためです。

「比良松」誕生へ、並々ならぬこだわりをもっていらっしゃる篠崎部長は、とにかく「面白いことをやっていこう」という想いで溢れています。

篠崎部長
篠崎部長

手にとっていただける環境つくり
近年、様々な理由でお酒を取り巻く環境は厳しくなっています。その要因の一つとして、嗜好品であるにも関わらず、お酒の伝わりにくさ、「くろうと向け」という性質があるのではと思いました。店頭で買う時に、一言説明を加えなければ手にとってもらえないという状況があります。
こだわりの品揃えで、しっかりと説明をしてくださるお酒屋さんもいらっしゃいます。が中には、私でも時々敷居が高くて入りづらいと思うような時もあります。
一方で、今後のお酒を支えていくのは20代、30代です。どこでも行ける(入りやすい)お店で、簡単に手にとれる、そういった場所、価格を提供していかなければならないと思います。
手にとっていただき、評価はお客様からいただくものだと考えています。

新しい考え方でやってみよう!
お酒を手にとっていただく環境づくりの一貫として、意思を共にする福岡の蔵元さんと協力し合い、積極的に試飲ができる機会を作っています。地元の食材や料理とお酒を気軽に楽しんでいただけるような場を展開していくことで、お酒に触れ、「美味しい、楽しい」という和をどんどん広げて行きたいと思っています。
果敢にチャレンジする意識があるか、それが重要だと思っています。

熱心に語ってくださる姿勢には、ご自身の蔵への想い、そして福岡の地酒を背負って立つ意気込みが感じられました。

篠崎のチャレンジは、清酒に留まりません。

味と面白さを追及したもう一つの挑戦
樫樽リキュール「朝倉」に込めた想いはこちら

篠崎の蔵内を見学&試飲させていただきました
その模様についてはこちら