焼酎紀行～「本格焼酎&泡盛試飲フェスタin福岡」報告～

日本の風土と、熟練した杜氏の匠の技が育てた逸品が一堂に「本格焼酎&泡盛試飲フェスタin福岡」報告

杜氏さんの焼酎造りへのこだわりをお聞きしました。
今回ご紹介するのは、奄美大島開運酒造様・高千穂酒造様です。

司　会：	奄美大島開運酒造さんと言えばやはり代表銘柄『れんと』ですが、瓶の色やラベルのデザインがとてもおしゃれなので女性に好まれるのではないですか？
小松氏：	そうですね。当初のコンセプトで女性向けという考えがありましたので、そういう面ではやはりインパクト的にも女性にうけたのではと思います。
司　会：	製造方法もちょっと変わってるんですよね？
小松氏：	はい。製品としてできてから、音楽を聴かせて振動で熟成させています。そうすることで焼酎がとてもなめらかになるんです。
司　会：	どんな音を聴かせているのですか？
小松氏：	オーケストラの演奏によるクラシック音楽がほとんどです。
司　会：	静かなゆったりとした曲を聴かせてあげてるんですね。
小松氏：	あとは、癒しの音楽。川の流れる音とか波の打ち寄せる音も聴かせています。
司　会：	人間が音楽を聴いてリラックスするような、そんな感じでしょうか？優雅な感じがしますね。その『れんと』なんですけれども、言わずと知れた黒糖焼酎ですが、甘味はあるのに糖分はゼロなんですよね？
小松氏：	はい。仕込みの段階で酵母が糖分を消化してしまうんです。糖分は気化しないのでアルコールに移行しないんです。これは蒸留酒ならではの焼酎の特徴の一つですね。
司　会：	糖分ゼロということでダイエット中の方にも安心してお飲みいただけますよね？
小松氏：	そうですね。女性にもおすすめですよ。
司　会：	今空前の焼酎ブームですが、今後どうなるとお考えですか？
小松氏：	ブームというのはずっと続くものではありません。ブームに負けないための新商品を開発し、また『れんと』の品質を常に守りたいと考えています。
司　会：	さて、ここからは御社の他商品『純美酢』についてお聞きします。どういった商品でしょうか？
小松氏：	蒸留残液から造った商品で、残液の中に多量に含まれるミネラル分や健康にいいと言われるクエン酸から出来ています。酢をイメージする方が多いですが、沖縄のもろみ酢と同様「クエン酸飲料」という位置付けになります。
司　会：	キレイになりたい、健康になりたいという人におすすめですね。私も飲んでみたいなと思っています。どのような飲み方、使い方が出来ますか？
小松氏：	氷で割ったり、そのまま飲んだり、あるいは料理に多少まぜて料理のバリエーションとしても使えます。
司　会：	それでは最後に、今後の抱負についてお聞かせ下さい。
小松氏：	まだまだ先の話になりますが、地場産の産地表示が出来るような黒糖を使用して、新商品として売り出したいと考えていますので、応援よろしくお願いします。
司　会：	はい、商品化を楽しみにしています。

■会社概要■
昭和29年創業の（資）戸田酒造所の経営を引き継ぎ、平成8年4月に設立。平成9年7月、製造工場を名瀬市から宇検村に新築移転。平成13年6月、健康飲料工房新築操業・黒糖もろみ酢工場操業。平成14年5月、黒糖醸造酢工場・リキュール工場新築操業。平成15年6月、黒糖もろみ酢に関する特許（製品・製法）・黒糖醸造酢に関する特許を取得。

司　会：	近年発売されました麦焼酎『黒麹高千穂』ですが、徐々に人気が出てきていますよね？
飯干氏：	ええ、昨年の9月に発売しまして、本格焼酎ブームもあり、おかげさまでかなりの出荷量になってきています。
司　会：	開発のきっかけを教えていただけますか？
飯干氏：	昭和50年以降減圧蒸留方法の登場で飲みやすいソフトタイプの焼酎が増えてきた中で、本来の本格焼酎の味と香りをしっかり持った商品の開発が必要ではないかと考え、開発しました。
司　会：	どういったお味でしょうか？
飯干氏：	ラベルにも書いてあるように、『黒麹高千穂』は全量黒麹仕込みです。従来の常圧蒸留方法による個性の強い本格焼酎で、かなり香ばしさや柔らかさ、甘味を感じさせる商品です。
司　会：	「全量仕込み」とはどのようなものですか？
飯干氏：	当社独自の表現だと思うのですが、普通は麦でも米でも総原料の1/3が麹、残りの2/3は蒸した原料をそのまま加え発酵します。ところが「全量仕込み」の場合は、全量麹にし、3回に分けて仕込みます。一般的な造りとはちょっと違いますが、より味に幅が出ます。
司　会：	水にもとてもこだわっていますよね？
飯干氏：	そうですね。というのは、本格焼酎の成分のほとんどは水とアルコール、残りが味や香り成分なのですが、この味や香り成分によって芋の特徴なり麦の特徴が決まります。その部分をうまく品質に生かすためには、やはり水が非常に重要になってきます。当社では、白川水源の天然水を使用しています。
司　会：	なぜ、天然水に目を付けたのでしょうか？
飯干氏：	会社の近辺40箇所ほど水質を調べまして、当社の原酒に一番マッチしていたことや水量の面、運搬の条件等で決めました。
司　会：	造りの工程で気を遣っていることは何でしょうか？
飯干氏：	やはり衛生管理ですね。それと安心・安全な原料を維持するためのトレーサビリティーの問題や、焼酎粕処理問題ですね。
司　会：	杜氏になったきっかけをお聞かせ下さい。
飯干氏：	目に見えない微生物が原料のデンプンを解かしてアルコールに変えるというパワーと、蒸留することによって味のまったく変わったものができるということに興味を持ちまして、杜氏の道に入りました。
司　会：	微生物の未知なる力に惹かれたということですね。ズバリ、杜氏の醍醐味は？
飯干氏：	一生懸命に造った焼酎を全国の皆様に飲んでいただき、さらに「おいしい」と言っていただくことですね。
司　会：	それでは最後に、今後の抱負についてお聞かせ下さい。
飯干氏：	蒸留酒は本来食後酒ですが、日本の蒸留酒である本格焼酎は食中酒として色々な食べ物と一緒に楽しめます。食生活が洋風に変わってきている時代ですので、今後は商品の多様化にも力を入れていきたいと考えています。

■会社概要■
明治35年、宮崎県西臼杵郡高千穂町大字芝原にて興梠今太郎氏が本格焼酎製造を始める。昭和45年、高千穂町大字押方に新工場建設移転、商号を玉の露株式会社に変更。昭和51年、商号を高千穂酒造株式会社に変更。昭和59年、新工場建設。昭和60年、大阪支店開設。平成2年、ヤマエ久野株式会社に依る資本参加。平成5年、福岡支店開設。

※トレーサビリティー…

生産、製造・加工、流通段階において、一つ一つの食品が適切に履歴管理され、情報を管理することにより、消費者のみなさまに安全で安心な食の情報を提供できるとともに、「食卓から農場まで」の一貫した安全性や品質の確保、各段階の連携強化、情報伝達の円滑化を進めるものです。