第5回 本格焼酎&泡盛 試飲フェスタin大阪
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本格焼酎講演会

講師: 和田 久継氏
(三和酒類株式会社 代表取締役専務)
演題: 『本格焼酎 その造りへの想い』

略歴
昭和28年 大分県宇佐市生まれ 
昭和51年 高知大学農学部卒業後、三和酒類株式会社入社
平成7年 代表取締役常務(製造担当)就任
平成15年 代表取締役専務就任、現在に至る

専門分野は、醸造技術(日本酒、本格焼酎、果実酒等)・醸造用プラント設計。

講師の和田久継氏

いいちこのこれまで
皆様、ご存知の昭和54年に発売された我社の代表銘柄「いいちこ」についてお話をしたいと思います。
「いいちこ」が発売される数年前の昭和51、52年、世間では邪馬台国ブームが起こりました。それにあやかり「邪馬台国」という焼酎が発売されましたが、ブームも冷めた頃には焼酎も売れなくなっていました。つまり、ブームに便乗するだけではダメである、中身も本物でなければ長く愛される商品にはならないと悟ったものです。
そんな中、適正価格で売れる本物の味を造りたいとして開発されたのが麦焼酎「いいちこ」です。「いいちこ」とは、大分県の方言で「いいですよ」という意味です。発売に際し、地元大分にて一般公募で選ばれたものです。
発売4年後の昭和58年には、当時の工場が手狭になったため現在の地に移転しました。ちょうど第一次焼酎ブームと重なり、流れにのって生産を伸ばすことが出来ました。
初めは年間2000石からスタートしましたが、今ではおかげさまで50万弱に届く量を生産しています。現在では宇佐市に3つの本社工場、日田市に2つの製造工場があります。
「いいちこ」発売からこれまでの27年間に色々な転換期や決断の時期がありましたが運やタイミングの良さも少なからず影響してきたものでした。

講演の様子 砂糖添加について
大分麦焼酎は、一般には広く知られていませんが昔は砂糖が添加されていました。「いいちこ」も当初添加していました。酒税法でも認められていましたし、甘みや旨みを補給するために必要なエッセンスでした。
しかし昭和60年、原材料のラベル表示が義務化され、「砂糖添加」の表示をしなければならなくなりました。他のメーカーは、砂糖添加をストップしましたが、私達は砂糖添加を続ける決断を下しました。なぜなら、人々が飲んでみておいしいものを造るためには、砂糖添加が欠かせなかったからです。当時はそれに代わる技術がなかったため、続けることにしました。そこであえて、砂糖添加を告知する戦略を執りました。全国紙の全面広告で''いいちこ900ml3本に角砂糖1つ''とアピール、おいしさを追求するために・・と撃って出たのです。この広告は「消費者のためになった広告」という賞を頂きました。
砂糖添加を廃止したのは、平成元年のことです。その代わりとなった技術が「オール麹造り」製法。いいちこはそれぞれ特徴のある原酒のブレンドで商品設計されていますが、当社全ての商品にこのオール麹造りの原酒が注入されています。「いいちこフラスコボトル」や「いいちこスペシャル」はオール麹(全麹)仕込みの焼酎です。「オール麹造り」は、砂糖添加の代替法として生まれました。

我社の三本柱
いくら生産量が増え、大量生産が可能になったとしても、焼酎や泡盛は農産加工品でなければいけません。工業製品ではないのです。原料へのこだわり、造る人の想いが込められたものであることが必要です。焼酎造りにおいて大切な要素は大きく分けて3つあります。詳しく話してみたいと思います。

  1. 『素材の良さ』
    そこそこの原料からは、そこそこの焼酎しか出来ません。ゆえに、一番重要なのは良い原料を見極める選眼の力です。そこそこの原料を技術でカバーすることもある程度出来ますが、これは良い傾向ではありません。当社は、原料の大麦に関して昔から研究を行っています。麹菌が入りやすい良質の麦、削りやすい麦・・と、研究を重ねるほどに、様々なことが分かってきたものです。しかしまだ研究の余地はいくらでもあります。素材の良さ、原料の良さを追求することが大事です。
  2. 『加工の良さ』
    素材が整った上で、次に必要なのはそれを極める加工の技術です。これが奥が深いものです。素材に合わせた加工や造りを施すことが腕の見せ所だと思います。一口に大麦焼酎といっても、大麦品種によって原酒の性格が違いますし、また麹の造り方、蒸留の仕方、貯蔵の方法や期間などによっても異なります。よく、「芋焼酎は造らないのですか?」と尋ねられるのですが、我々としては、このバラエティーに富んだ麦焼酎だけで精一杯というのが本音のところです。
  3. 『造る人の誠意』
    工場が大きくなり働く人の数が増えると、造る人の気持ちの統制、コミュニケーションが疎かになりがちになるという問題が生じます。設備などハード面の整備以上に一番大事なのは、造る人の気持ちです。よく、手造り蔵の手造り焼酎と商品をアピールする蔵がありますが、そこには造る人の気持ちが込められているという付加価値が生じており、それが魅力なのです。規模が大きくなると、いかにして造る人全てに高いモチベーションを保ってもらえるかが重要です。またコミュニケーションが取れやすい職場環境を整えることも心掛けています。

1〜3が揃った時に、当社のポリシーである『品質の力』が発揮できます。

会場の様子 これからは
品質を高める、品質の力が大事です。焼酎という商品を造るだけではなく、働く全社員に関しても品質力がカギを握っていると思います。すなわち、社員の態度、行い全てが商品の品質力にも繋がっていくということです。例えば、当社の営業マンには、出張時、ホテルに宿泊する際にはきちんとふとんをたたんで出るよう教育しています。そういった日々の行動や態度がモノを言うのです。
今後の商品戦略としては業態別の要素が重要になってくるかと思います。
焼酎はあくまでも致酔飲料であり嗜好品です。社会的責任を持って、これからも更に品質力を上げるために果敢に挑んでいきたいと思います。

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