焼酎ニュース
ビールメーカー「妊娠中・授乳期の飲酒に対する注意表示」実施: (2004/09/10)

国内ビールメーカー各社は、今年6月以降各商品に、「妊娠中・授乳期の飲酒に対する注意」の表示を始めています。ビール、発泡酒から順次始め、その後チューハイ、洋酒、焼酎などに全酒類へと広げていきました。今では、ほぼ全酒類に表示されています。
表記内容は、「妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。」
としたものです。

表記の理由として、あるビールメーカーは次のようにコメントを出しました。
「最近、妊産婦や授乳期の女性の飲酒に対する懸念が高まっており、また本年2月に消費者団体等がビール酒造組合に対して要望書を提出したこともあって、当社や組合で検討した結果、製品本体に注意を喚起する表現を自主的に表示することにしました。」

妊産婦飲酒に対する社会的な懸念の高まりから、ビールメーカーが今回のように動いたといえます。

ところ変わってフランスでも、ワインに「妊娠中の飲酒危険」といった警告の表示が義務付けられる方向に進んでいます。需要の低迷から抜け出そうとしているワイン業界の中には、反発の声もあるそうですが、妊娠中の飲酒の危険性をめぐって、発育や知能などに障害がある子供を持つ母親グループが訴えを起こしている事象もあります。これに対し、酒類業界に刑事責任が問えるかどうかの捜査がフランスの検事局によって始まりました。

今回の2カ国での決定は近年企業に対し、企業としてのモラル、社会貢献が強く問われている中での出来事であるでしょう。

妊産婦や授乳期の女性の飲酒で懸念される影響の一つに「胎児性アルコール症候群」があります。
【胎児性アルコール症候群(FAS)=Fetal Alchol Syndrome】
胎児が母体にいる間の母親の飲酒によって引き起こされる中枢神経系の異常を始めとするさまざまな障害のこと。発育不全、身体的異常、知的障害が見られ日常生活や社会生活に支障をきたす。
症状を引き起こすアルコールの量や飲酒頻度については、まだ明らかにされていない。

さて焼酎業界は、現状まだ注意表示をしていません。しかし、ある焼酎メーカーは「今後生産するラベルについては、全商品表示するようにしていきたい」とのことです。その一方、業界として動くには、まだクリアしなければならない問題もあるようですが、ビールメーカーが注意表示を始めたことで少なからず焼酎業界にも影響を与えたことは事実です。今後の焼酎業界の動きに注目しましょう。