焼酎ニュース
焼酎粕に免疫高める効果:(2006/3/24)

焼酎を製造する際に生じる蒸留粕は年間に数10万トンにも上ります。本格焼酎の生産が増大する中、各蔵元は生じる粕をどのように処理するかが課題となっています。

崇城大学(熊本市)生物生命学科の上岡龍一教授らの研究グループは、焼酎かすから抽出したパウダーに免疫を高める効果があることをラットを用いた実験で発見しました。C型肝炎などの治療薬として応用が期待されるとのことです。

研究グループは、麦焼酎のかすを遠心分離して凍結乾燥処理を施したものからエタノール抽出してパウダーを製造。
パウダーをラットに投与した結果、抗腫瘍や抗ウイルス、免疫力賦活効果があるインターフェロンガンマーの産出量が、投与しない場合の約7倍になりました。副作用は特に見られなかったとのことです。

雲海酒造綾工場の焼酎粕処理施設


上岡教授は、2005年にも焼酎粕にがん細胞の増殖を抑制する効果があることを発見。また、焼酎会社などと共同で大学発ベンチャーとして「健康医学研究所」を設立した実績もあります。

廃棄物の海洋投棄を禁じるロンドン条約の批准を控え、焼酎粕の海洋投棄廃止は現実に迫った問題となっています。
大手焼酎メーカーでは、処理施設が整いつつありますが、中小蔵元においては設備負担が現在重くのしかかっているのが現状です。
中小零細企業が9割を占める焼酎業界。海洋投棄の継続を認めて欲しいという声もあり、現在、業界の検討課題となっています。