焼酎ニュース
大口酒造が養豚業界、農家と取り組む新たなエコ活動:(2009/1/23)

大口酒造、養豚業者、農家がつくる新たなリサイクル

鹿児島県では、焼酎製造の過程で排出される焼酎粕を豚の飼料に活用する試みが始まっています。代表銘柄「伊佐錦」を持つ大口酒造(大口市)は、地元の養豚業者・農家と連携し、ブランド豚の育成を進めています。

きっかけは焼酎メーカーと養豚業界が抱える問題にありました。焼酎業界では、2007年の海洋汚染防止法改正で焼酎粕の処理にコストがかかるようになりました。一方、養豚業界は穀物価格の高騰により飼料の大幅な値上げに直面。そこで焼酎粕を安く処理でき、割安で飼料を仕入れられるという両者のメリットが合致。こうして焼酎粕のリサイクル活用がスタートしたのです。

大口酒造は、年間15万頭の豚を出荷するジャパンファームに1日約15トンの焼酎粕を供給。これをリキッド状にした液体飼料に混ぜて、年間1万3,000頭が養豚されています。今後は焼酎粕の供給量を2倍に増やし、2万5,000頭まで増やす計画。

さらに豚のフンは地元農家が栽培する作物の堆肥として利用され、栽培したさつま芋や米を焼酎メーカーに販売しています。

今年には焼酎粕で育てた「伊佐錦」ブランドの豚肉がスーパーなどに並ぶ予定。焼酎粕にはさつま芋のビタミンEとポリフェノールが豊富に含まれ、良質の豚肉になると業界関係者も高く評価しています。

焼酎メーカー・養豚業者・農家が業界を枠を越えてつくる、環境にやさしい循環型リサイクル。「目に見える安心なリサイクル」として、今後ますます脚光を浴びそうです。