お蔵探訪記
指宿酒造協業組合

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指宿酒造協業組合 部長 坪井詳忠(つぼいよしただ)さん
坪井 詳忠(つぼい よしただ)さん
指宿酒造協業組合 部長 
九州最大のカルデラ湖である池田湖湖畔に位置する指宿酒造。鹿児島県の「薩摩富士」とも賞される美しい開聞岳の山裾は芋所として非常に有名なところです。そこで丹精込めて栽培されたさつま芋と大谷金山の天然水を使用して本格焼酎を造っている指宿酒造。2003年7月には環境保全の国際規格である「ISO14000」を取得され、「食」を扱う企業として環境保全に積極的に取組まれています。今回は指宿酒造の部長である坪井詳忠さんにお話しを伺いました。
焼酎業界に携わったきっかけ 
「合併、協業の申請時より携わりました。妻の実家(現在はホテル経営)の手伝いに鹿児島に来ました。そのホテルの前に蔵元があり、合併、共同瓶詰め工場を経て今の指宿酒造へ参入したもので、身内より参加するため、私が勤務することとなったのです。」

協業への道のり
1987年、明治創業の老舗酒造元5社(指宿酒類(有)・南酒造(有)・白菊酒造(有)・井上酒造(有)・京田酒造(有))が伝統の技術を合わせ創業した指宿酒造。その5社は本当に昔ながらの手造りの蔵ばかりだったそうです。
「前身の5社の蔵は、甕仕込みなど、言ってみれば今皆さんが一番注目する造りの蔵ばかりでした。しかし、スケールメリットが全然出ないという事と、酒質のばらつきを防ごうという事で、協業化に踏み切りました。そのおかげで一つの蔵では成し得なかった事が実現出来たと思います。」と坪井部長。
その後、代表銘柄である芋焼酎『利右衛門』を中心に、着実にその名を定着させていきました。


指宿酒造外観
人の手による伝統の造りを活かす
5つの蔵が協業化し、何もかもが大きくなった中にも、「人の手」を入れなければならないと坪井部長は強調されます。「人の手」を入れるためには、現在の製造力が一番ベストな状態にあるそうです。
「酒質のばらつきを無くし、一番手をかけ、一番良いものを造る・・・そうすると麹米1トンのスケールが、一番ベストだろうと考えました。これが3トンになりますと、機械に頼らざるを得なくなります。しかし、手作業を主として、甕仕込みで培った伝統の造りを活かすよう努めています。これ以上大きくなってしまうと、人の手が入る隙間がなくなってしまいます。原料の選別と機械の性能をきっちりとさせていくのが工場の力・・・それではいけないのです。一つ一つ、麹やもろみの温度を見た時に、『あ、これはちょっとどうかな』と言えなくなります。温度管理をしているのは人であり、人の技術が大切なのです。その技術を酒造りに活かさなければならないと考えています。」

「手作業を主として、甕仕込みで培った伝統の造りを活かすよう努めています。」
芋焼酎の本流『利右衛門』
  原料の芋の甘味をふくよかに表現できるように手作業を主としてしっかりとした麹を造り、新鮮な原料さつま芋だけを使用して造った代表銘柄である芋焼酎『利右衛門』は、あくまでも芋焼酎の本流の造りであり、味です。
「当社は立地より原料、産地の真ん中で良質の水の出る所を選定しました。良質の焼酎は、原料の新鮮さ、水の成分等は当然の事ですが、仕込みも大きくもなく、少なすぎず、手作業を十分出来るスケールを保ち麹米1トン、さつま芋5トンをベースに大切に造っていくことだと思っています。決して機械だけにまかさずにですね。芋焼酎の本流を守っていきたいと思っております。」
(左から)本格芋焼酎「利右衛門1800ML/900ML/720ML」画像
鹿児島県産100%
  造りで一番苦労するところはどんなところですか、との問いに、「どこの蔵でも同じだと思いますが温度管理です。そして原料の選別ですね。芋焼酎の場合、特に芋が麹の5倍入りますから。そして水。私達が使っている大谷金山の湧水は製造にはもってこいの水なのです。」特に芋については、地元産、南薩摩の芋のみを使用して、新酒のみが「紅薩摩芋」、それ以外は「黄金千貫」を100%使用しているそうです。また、鹿児島産100%であることを商品に明記する取組みも率先して行われています。 「造りで一番苦労するのは、温度管理と原料の選別ですね。」
焼酎ブームについて
  現在、焼酎が特に注目されていますが、その状況については一過性のものではないと坪井部長は断言します。「焼酎ブームではなく、これまでコツコツと積み重ねてきたことが上手く市場に溶け込んできたと私達は理解しています。」地元だけではなく、外に目を向けた時に新たな商品が必要だと考え、商品開発を進めてこられたそうです。「私達は、なるだけ芋焼酎を理解して頂くために、もう少し馴染みやすい、都会の人でも飲めるような芋焼酎を造りたいと思いました。少しずつ火を付けていければなと、ゆっくりとしたスピードでですね。あくまでも商品を提供した上で、飲んで頂いてから、その味、良さを分かって頂ける芋焼酎にしたいのです。」


職人の手
食を扱う責任
  指宿酒造は、「食」を扱うものとしての責任、考え方をはっきりと打ち出された焼酎造りを行っています。
「私達の考えとしては、焼酎は食品ですから、私達も食を扱うものとして衛生上のことを考えなければならない。そうすると今の工場の造り、今の状態がベストなんじゃないかと思います。」
指宿酒造では、2003年7月に環境保全の国際規格「ISO14000」を取得しました。また、商品には瓶詰めの日付を載せ、情報開示しています。消費者に商品の情報を正確に伝えることが不可欠という考えによるものです。「そういう風に物事に取組んでいく事が、末端の方、消費者の方にとって誠実であるということなのかなと思います。それは食を扱うものとしての責任なのです。」この姿勢、考え方が全社員に徹底されており、それは蔵全体から伝わってくるようでした。


「焼酎は食品ですから、私達も食を扱うものとして衛生上のことを考えなければならないと思います。」
焼酎ファンへのメッセージ
  「出来るなら、外で焼酎を飲むより家で飲んで欲しいですね。食卓のおかずで飲める食中酒として焼酎を飲んで欲しいのです。やっぱり鹿児島の方言で言うと焼酎は「だれやめ(晩酌)」なんです。
今非常に焼酎が注目されています。そしてその中で様々な飲み方がされていますが、それはそれとして、私達焼酎メーカーは商品と共に、お湯割、水割りといった本流の飲み方についても消費者の方に情報発信していかなければならないと、今痛切に感じています。
幻の焼酎もよし、話題の焼酎もよし。しかし我々のように地元で愛され永年飲まれ続けてきた、地元に根ざした焼酎メーカーの製造した芋焼酎を普通の価格で買って飲んでいただきたいと思います。」
 
  商品供給するだけではなく、鹿児島の文化である「焼酎」の伝統、本流を伝えていくという責任、それを確実に果たしていく指宿酒造は、正に日本に初めてさつま芋をもたらした「前田利右衛門」のように、新しい地に本格焼酎を広めていくのだと思います。
                                                    

                                                    
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