お蔵探訪記
合資会社高田酒造場

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高田 啓世  ( たかた たかひろ)さん
合資会社高田酒造場 代表社員
12代目の高田さんの手から様々な焼酎が生み出されました。
失敗から誕生した数々のヒット商品

高田さんは旅行会社に勤務されていたことがあるそうですね。
「大学在学中から旅行代理店の添乗員を務め、昭和59年に帰郷して11代目の父の後を継ぎました。焼酎造りのノウハウゼロ、営業経験ゼロという状況でしたから、苦労の連続。何か新しい焼酎を造らなければという想いばかりが先走り、安い米で仕込んでみると大失敗。次に高級米を使うと採算が合わず赤字状態に(笑)。
そんな中、樫樽貯蔵はどうだろうと思いつき、早速挑戦。数年後に試飲すると旨く出来たんです。貯蔵すると全く違う風味が出るんだ!と驚いた瞬間でした。その後、数種類の樽を使い分け原酒をブレンドしながら試行錯誤して生まれたのが『オークロード』『郷の鴨遊び(さとのかもあそび)』です。
当初は旅行業関係者をつてに地元の観光土産店や空港を中心に販売していましたが、各所でたちまち売れ筋商品に躍り出ました。それが評判を呼び、酒販店にルートが広がったのです。旅行業時代の経験が蔵を取り巻いていた販売の壁の突破口になりましたから、人生何が幸いするか分かりませんね。」

高田代表
樫樽貯蔵の魅力的な世界
 

多種類の樫樽貯蔵に力を入れて取組まれていますが、どのような種類があるのですか?
「樫樽貯蔵は奥が深く、とても個性的な世界です。樽にはそれぞれ個性があり、種類によって醸し出される香りや風味が全く違います。当社は19年前から樫樽貯蔵を取り組み、ホワイトオーク樽リムーザンオーク樽の他、ヨーロッパからコニャック樽シェリー樽スコッチ樽の5種類を取り揃えています。ヘネシーやレミーマルタンといった世界の銘酒の貯蔵に使われ、これからもっと個性的な味を醸し出していく樽たちです。
これらの樽は保存にも気を配り、石蔵の倉庫など気温の変化が少ない場所で静かに寝かせています。蔵を訪れた方々が「樽ごと持って帰りたい!」と口を揃えておっしゃるんですよ(笑)。完成の時が待ち遠しくてたまりません。」


樫樽
花酵母焼酎 製造の難しさ
 

球磨焼酎の蔵の中でも唯一、野生の花酵母を採用されていますね。
当社では、12種類の花酵母を採用しています。どの酵母も仕込みの段階で真っ白な色をしており、無数の白い泡を激しく立てます。中でもシャクナゲの花酵母はバナナのような甘い香り、またつるばらの花酵母は清酒のような吟醸香を醸します。
初めて蔵で仕込んだ時は、これは本当に焼酎なのだろうかと衝撃的な印象を受けました。蒸留したらどうなるのか、風味と香りをどこまで残せるのか心配でしたね。清酒と違って最後に蒸留という作業が待ち構えているのが焼酎造りの難しいところです。
当社は、飲んでみたい焼酎のイメージがあればとにかく勉強して造ってみます。失敗も多いですが、納得のいく酒質に仕上がれば商品化するという姿勢です。現在でも研究段階の焼酎が沢山あります!完成を楽しみに待たれているお客様も多くいらっしゃるんですよ。」

花酵母焼酎について語る高田代表
ネーミングにも遊び心を
 

高田酒造場の商品にはユニークな銘柄名が多数ありますね。
『山ほたる』は、ここ球磨郡あさぎり町の自然をイメージしました。あさぎり町は周囲を1000m級の山々に囲まれ、初夏にはホタルが飛び交う自然豊かな所。そんな環境で育んだ自家製の山田錦を使用しています。造りの全てに徹底したい想いと、里山に乱舞するホタルに寄せる応援の気持ちを込めました。
『遊木(ゆき)』は、「遊ぶ」と「木」を組み合わせ、一杯飲む時のくつろぎ感、そして長期熟成の背後にあるオークの木のイメージを重ねました。子供の頃に山で遊んだ時のファンタスチックな気分を味わって頂けたら幸いです。
『郷の鴨遊び(さとのかもあそび)』は、徹底的に自然にこだわった蔵の代表銘柄の一つ。アイガモ農法による無農薬米を使用しています。仕込み水は標高1000mの山頂近くに湧き出る岩清水を使用。この天然水に巡り会えたことでこれまでにないまろやかな口当たりが生まれました。アイガモたちが水田で戯れている風景を思い浮かべながら自然を感じて頂きたいですね。
どの焼酎にも誕生のストーリーがあり、愛おしい子供のような存在です。これからもお客に愛着を持って頂けるような商品に育てていきたいと思います。」


「山ほたる」「遊木」「郷の鴨遊び」
今後は“第二創業”精神で
 

今後どのような姿勢で焼酎製造に取組んでいきたいですか?
「平成15年に創業100周年を迎え、創業当初の代表銘柄『秋ノ穂』の製造を再開しました。今後蔵の主力商品として取り組んでいきたいと思います。
同時に仕込み蔵を新しく建て替えたのは、この蔵を守り抜いてきた先祖の苦労に対して感謝の気持ちを表したかったからです。これまでの歴史を次の100年につなげていきたい。“第二創業”という意気込みで取組んでいきたいと思います。その為にもより研究を重ね、一層ご満足頂ける球磨焼酎を造らなければならない、地域に貢献できる蔵にならなければと考えております。
私達の蔵は少量の生産ですが、皆さんのご期待にお応えできるよう頑張っていきたいと思います。」

蔵内


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