■焼酎粕とは
焼酎粕とは、アルコール発酵した「もろみ」を蒸留した後に残った液体。アルコール分解を経た芋、麦、米などの有機物と90%以上の水分を含み、製品の約2倍の量が排出されると言われます。年々焼酎の生産量が増加すると共に、この焼酎粕の排出量も多くなっています。
■焼酎粕処理の問題
焼酎粕は液状であることや重量があること、更に特有の臭いがあることから処理が難しいものでした。これまでは主に海洋投棄されていましたが、ロンドン条約に基づく環境保護の観点から、2001年より海洋投棄そのものが禁止さました。
酒類メーカーではこの焼酎粕の処理が緊急の課題となり、海洋投棄に代わる新しい処理対策が考案、実施されています。
■どのように処理、リサイクルされているのか
①飼料、肥料として活用
多くの焼酎メーカーでは、工場内に焼酎粕専用の処理設備を導入し、飼料・肥料化する取組みを行っています。
排出された焼酎粕を脱水ケーキ(※)にし、乾燥させて造ります。これを家畜用の飼料、または農業用の肥料へ変換。業者向けの商品として販売するメーカーもあります。
※焼酎粕を固液分離し、水分を脱水して固形化したもの
②エネルギー資源として有効活用
生産ラインから排出される焼酎粕や原料米の洗汁をメタン発酵処理(※)することで発生したバイオガスを回収し、電気・熱エネルギーに変換。これを製造工場の燃料として有効活用されています。廃棄物を非焼却で処理する為、大変環境にやさしい技術。循環型エネルギーシステムとして更なる普及が期待されています。
※菌の働きにより有機性廃棄物からバイオガス(メタン60%、二酸化炭素40%)を取り出す作用
③健康食品へ再利用
焼酎粕には原料由来のクエン酸やアミノ酸などの各種因子が豊富に含まれます。特にアミノ酸は栄養になるだけでなく、旨味の素となる性質を持ちます。全国の酒類メーカーでは、独自の処理によってもろみ酢や、粕取焼酎、リキュール、調味料などを製造しています。
以上のように、様々な方法で焼酎粕を再資源化する画期的な開発や取組みが行われています。焼酎業界においても、環境問題を考慮した対応が求められているのです。