焼酎の原料にスポットを当てた当企画。今回は「黒糖」造りに注目しました!
黒糖焼酎と言えば、奄美群島内だけで製造される、黒糖・米麹を主原料とした焼酎です。
芋や麦、米とは違い穀物をそのまま使用する焼酎とは違い、サトウキビを原料とした加工品「黒糖」を使用するという点が、黒糖焼酎の大きな特徴の一つです。
そんな黒糖焼酎の中で、今回レポートするのは奄美開運酒造さん。原料として、黒糖を仕入れる蔵元が多い中、自社工場内で黒糖の一部を製造、加工している珍しい蔵元です。
代表銘柄「れんと」を主に全国で親しまれている蔵元さんですが、元々は蔵の位置する宇検村の産業発展を目的とし、黒砂糖商品の販売のため黒糖工場をはじめに造り、その後黒糖焼酎事業を始めたそうです。そんな蔵の原点とも言える黒糖造りに着目してきました!
黒糖造りのはじめは、原料となるサトウキビの収穫から始まります。沖縄の広大なイメージのサトウキビ畑とは異なり、限られた面積の中で、島内の至る所にサトウキビが栽培されています。
通常は、ハーベスターと呼ばれる大型機械が収穫から皮むき、カットまで一連の作業を行います。
今回は、手作業での収穫を体験させていただきました!
間近で見ると、とっても背の高いサトウキビ。根元から切り取って、葉っぱ部分や、節の部分をそぎ落とします。普段使い慣れない鎌での作業は、ヒヤヒヤもの。最後まで要領を得ないまま、一連の作業にかなりの時間を要し、蔵元の皆さんや畑にとてもご迷惑をかけてしまいました。
刈り取られたサトウキビ一本から採れる搾り汁は1Lほど。焼酎の一升瓶を造るには、サトウキビが2.5~3本分(約5キロ)も必要!せっかくの収穫体験も一升瓶2本分がやっとというところ。機械化が進んでいるとはいえ、手作業も当然必要となる中、蔵の皆さんの大変さを痛感する一幕なりました。
次はサトウキビを搾ります。こちらも今回は特別に手作業による圧搾を体験。かなりの勢いで圧搾汁が出てきます。搾ったままのサトウキビジュースはとっても甘い!
次は濃縮作業。サトウキビの搾り汁を鍋で煮詰めて濃縮していきます。ここでの最大のポイントは灰汁取り!良い黒糖を造るには丁寧かつ素早い灰汁取りが重要です。
また不純物の除去にわずかに石灰を使用しますが、投入する際の見極めは長年の技!自らの口で甘さを確認しその量を決めています。長年培ってきた技術と感を垣間見ることができました。
そして濃縮された液をいよいよ固形化していきます。
濃縮液をバットで受け止め、空気が入らないように慎重に成型していきます。その重みと一滴も無駄にできない連続的な動きに両腕は悲鳴を上げる始末。ふがいない体験一団です。
こうして固められて黒糖は、黒糖として製品化されるか、蔵の焼酎の原料の一部として使用されます。
焼酎原料として使用される際は、固めた黒糖を今度は溶解しなければなりません。固めずに使えば良いのでは?と疑問に思う方も多いと思いますが、それは「搾汁をそのまま使ってはいけない(固めなければならない)」と法律で定められているから。
丁寧に固められた黒糖を、また丁寧に灰汁を取りながら溶かして原料とします。
今回の黒糖造りを体験したことで、他の焼酎に比べ黒糖焼酎は非常に時間と手間がかかるものだと知りました。
黒糖焼酎の成り立ちや、作り手の皆さんの想いを、この体験レポートや日々の活動を通して、お伝えしていきたいと思いました!
最後に貴重な体験をさせていただいた、奄美大島開運酒造の皆さん、どうもありがとうございました!