地酒の最大の特徴は、その風土ごとに表れる個性ある味わいではないでしょうか。
その土地の水、原料、気候そして食文化。
これらの要素によって育まれた地酒はその地の特産品と相性が良いことは言わずもがな。
そこで、今回は広島の代表名酒と特産品の相性についてご紹介いたします。
広島県の特産と言えば??
もみじ饅頭にお好み焼き。 忘れてはいけないのが、牡蠣と日本酒。
広島は日本の牡蠣養殖生産量の約60%を占めていると言われているほどの牡蠣名産地。
そして、広島県には三大酒処の一つ、西条があります。
その西条でも最も古い歴史を持つ、創業延宝3年(1675年)の300年以上にわたり酒造りを続けている白牡丹酒造さんのお酒に注目しました。
出荷量は県内トップ3に入り、その90%以上は広島を中心とする中国地方で占められているという、まさに広島で最も飲まれているお酒。
広島のお酒は、灘の「男酒」に対し、伏見の「女酒」と同様、広島の「女酒」と呼ばれ、ふくよかさや柔らかさを特徴としていますが、
中でも白牡丹酒造さんのお酒は、甘口ながらに後キレの良い旨口です。
さて、一方の牡蠣はというと
その味わいは、香り高い磯のかおり・濃厚・ミルキーといった言葉で表現されます。
広島の牡蠣は、他産地の牡蠣の比較的大味に比べ、濃厚な甘みをもっていて、特に宮島周辺は、濃厚かつ繊細な牡蠣特有の味がより豊かに感じられと言われています。
では、そんな牡蠣に一番相性の良い飲み物は?
それは日本酒。
それは、牡蠣の旨味と日本酒に含まれる旨味が相乗効果を発揮し、味を増幅させるからだそうです。
そして、中でも最も相性の良い日本酒は、「旨味が濃厚なもの」と言われています。
なるほど、これは期待大。
残念ながら、広島産牡蠣とは行きませんでしたが、実際に食べ合わせてみました。
味覚オンチな筆者ですが、「旨味の増幅」という点は実感!味が広がるといった感じでしょうか。
つたない表現ではありますが、この魅惑のコラボを立証?する一説があります。
この白牡丹酒造さんは、夏目漱石など数々の文化人から賞賛されたという歴史がありますが
その中の一人、狂歌師や戯作者、学者としても有名な蜀山人(大田南畝)が、
その著「小春紀行」の中に、西条を廻遊した際に、
白牡丹に止宿して、牡蠣を肴に酒を汲み交した旨を記しているそうです。
進化しつつも、昔から変わらない旨さを持つ地酒。
ぜひ、の土地の食材はその地のお酒でいかがでしょうか。