貯蔵タンク

【お蔵探訪記】篠崎 ~その3.蔵内見学&試飲模様~

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清酒、焼酎にリキュール、甘酒と多岐に渡る製造の現場は、どのようになっているのか?早速、蔵の中を見学させていただきました。

入って一番に驚いたのは、出荷倉庫内に生える、いや庫内を突き抜ける大木です。

蔵の中の大木

増設を行う中で、創業時よりある木を切るわけにはいかない、とそのまま残す形でこの倉庫を建てたそうです。4本の大木がまるで蔵を支える屋台骨のような印象を受け、老舗蔵元の歴史の深さを感じました。

甘酒洗米

まずは、篠崎といえば「国菊あまざけ」。年間生産量1万石を誇る甘酒の製造現場を見学させていただきました。洗米の行程に遭遇。大量のお米です。甘酒は麹造りを入れて72時間で出来上がるそう。このお米も明後日には美味しい甘酒に変身しているのでしょうね。

洗浄作業

そのお隣では、今日使い終えた機械を一つ一つ解体して、洗浄する姿が。甘酒は食品なので、アルコール分を含む焼酎や清酒造りに比べ、さらに徹底した衛生管理が求められます。そのため、私たちもガラス越しの見学となりました。

続いて伺ったのは、清酒造り。真夏のため、仕込みは終ってしまっていましたが、ここでも細やかな場面を垣間見ることができました。
こちらは、醪を搾る圧搾機。一枚一枚丁寧に圧力板をセットしていきます。

搾り機

甑

こちらはお米を蒸す甑。中に入っているのはプラスチック状の粒なのですが、これを釜とお米の間に挟むことで、内壁に蒸気から発生した水滴がお米に吸着するのを防いでいるそうです。

酒母

そして、こちらは酒母造りに使用されるタンク。一般的なものに比べ、小型です。
それは、小さな方が対応が細かくでき、杜氏のこだわりが表現しやすいからということでした。

麹室

特別に製麹室も拝見させていただきました。麹造りは清酒造りの要。デリケートな麹菌を扱うこの部屋は、通常の仕込み期間では絶対に拝見できない一室です。秋田杉を使用した麹室は、ほのかに杉の良い香りが。非常に貴重な体験です。

続いて、焼酎造りの場へ。

製麹装置

こちら大きな製麹装置。原材料の洗い、蒸し、そして出麹まで全て一貫して行われるので、移動による雑菌などがつく恐れがありません。
製麹中は、クエン酸の過度な増殖を防ぐため35度以下の温度管理が徹底されます。
麹菌によって作り出されるクエン酸は、本来、雑菌の増殖を抑えてくれるのですが、多くなりすぎると酸味が出てしまうからだそうです。

醪

そして10日目を迎えた米焼酎の醪を見せて頂きました。アルコール発酵も落ち着いた様子でしたが、よく見ると所々で、プスプスと炭酸ガスが噴き出しています。お米の香り高く、甘みのある香りが印象的でした。

リキュールの仕込み時期には、蔵内一帯が果実の香りに包み込まれるそうです。この日はリキュールの製造は行っていなかったのですが、蔵の中には、漬け終えた梅の実が保管されており、横を通るだけで、とても良い梅の香りがしました。

蔵内は、甘酒、清酒、焼酎の造りの現場がそれぞれ独立していながらも、貯蔵や管理では一部共有されるなど、とても効率よく配置されていました。
見学中は、時々迷子の気分になりましたが、たくさんの種類を造り、管理するということはとても大変なことだと実感しました。

そして、最後のお楽しみに、自信作「比良松」の純米吟醸・純米大吟醸の計4種を試飲させていただきました。

比良松試飲

甘みとしっかりとしたふくらみのある味わいのものと、甘みがありながらもサッと口の中を通っていく爽やかさのあるもの。それぞれに特徴がありつつも、シリーズに共通しているのが、お米のしっかりとした甘み。「あまうまくちを表現する」、という言葉の通りです。
日本酒を飲み慣れない方にも、好まれそうな心地良い「うまくち」。
一方で、通も唸らせる味わい。
両方楽しめるラインナップに、篠崎部長が仰っられた新たな試みが感じとれました。

なるほど、ラベルもかわいいデザインですね。

これから秋に向けて、新たにひやおろしも発売予定ということですが、そちらもぜひ飲んでみたい!と思わせるラインナップです。

「今はまだ挑戦の初めのステップ。徐々に徐々に全国の皆様に「比良松」の味わいを知っていただきたい」と強い意気込みの篠崎の皆さん。
その意気込みに比例して、これから「比良松」を目にする機会も多くなってくると思います。皆さんも見かけたら、ぜひ一度は飲んでいただきたい!スタッフおすすめのお酒です。

篠崎 ~その1.蔵人の挑戦 清酒「比良松」の誕生~はこちら

篠崎 ~その2.樫樽の技術が生んだ「朝倉」に込めた想い~はこちら