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【お蔵探訪記】玉乃光酒造に行ってきました。~その2.丁寧に一生懸命醸す酒~

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さて、いよいよお酒造りの要「麹作り」です。

玉乃光では、吟醸タイプを生み出すのに適した「突き破精型」と呼ばれる麹作りを行っています。お米に所々白く、まばら状に麹の菌糸が食い込んでいるのが見えます。

麹

昨年新設された麹室では、3つの部屋に分かれており、それぞれに温度、湿度が異なります。製麹経過時間に応じて、各部屋を移動していきます。「突き破精型」の麹を造るには、一部しか菌が生えないように湿度を調整しなければなりません。純米大吟醸用の麹米で放冷機を使わない目的も、蒸米の乾燥具合が麹菌の着き方に大きく影響するためであり、麹室では乾くスピード、繁殖するスピードをうまく調整することが非常に重要となります。ここに手造り的要素が非常に多くあるということです。

麹室

1日前に造られたこの麹には、温度調整のため毛布が掛けられていました。まるで我が子を育てるように、大事に大事に麹を育てていることが感じられました。

こちらは放冷機を使った作業。お米を冷ますと同時に、種麹をふりかています。

放冷機

そして、こちらは蒸し上がった掛米。添え掛け用のお米は放冷された後、蒸したそのままを仕込みます。人の手によって運ばれ、2階にある窓から布でできた筒を通り、一階にあるタンクへと投入されます。

蒸し上がった米
掛け米投入

次に、一階の酒母へと伺いました。こちらにも様々な種類の酒母が。酒母造りの目的は、酵母の培養です。経過日数によって、泡の違いからその働き具合の違いがはっきりと見ることができました。

酒母

もちろん、味も違います。若い酒母は、プクプクと活発な泡があり、発生する炭酸ガスでピリッと舌に刺激を感じますが、甘みが残る味わい。一方、日数の経った酒母は、蔵内にある乳酸菌を取り込んでいくため、とても酸っぱい味わいになっていました。

そして搾る前のまさに酒、「醪」を拝見。タンクを覗くと、とても良い香りが漂ってきました。シュワーシュワーと音を立て、泡立つ姿はまるで生きている様。醪も酒母同様、経過日数によって、アルコール発酵の動きが異なるのが良くわかります。若い醪はまだお米が多く、重みのある動きで、小さな泡がもくもくと湧き出ています。発酵が落ち着いてきた醪は、水分が増えているのがわかります。この様子を蔵では「醪の面(つら)」と呼んでおり、どんな状態なのか面を見て判断します。もちろん、毎日の科学的検査も欠かせません。

醪

ここにあるタンクは、11度前後の低い温度に保たれています。高い温度の方が、お米も溶けやすく、酵母の働きは活発になりますが、その分雑味も多くなり、またせっかくの香りが飛んでしまいます。そのために、お米を磨く。雑味のない、香りのあるきれいなお酒を造るには、本当に様々な知恵と技術が必要なんだと実感しました。

醪の香りを嗅いでいると、どんなお酒が出来上がるのか、とても期待が高まります。

そこでお楽しみ、まさに搾りたての味わい備前雄町を50%まで磨いたお酒を試飲させていただきました。

試飲

しっかりと麹の香りがあり、味わいも濃い。アルコール度数が高いため、甘みも感じますが、後味がすっきり。スタッフそろって「美味しい!」の一言。ピリッと感じるのは、搾りたて、蔵だからこそ味わえる味。
蔵人の皆さんの造りを見た後だからこそ、よりこの一杯の重みが伝わってきました。

最後に、今回ご案内いただいた辻本生産部長におすすめの一本を伺いました。

辻本生産部長

どれもおすすめですが、やはり純米大吟醸備前雄町です。

玉乃光のお酒は「燗でも冷でも美味しいお酒」をモットーにしています。燗をすると味を感じやすくなるので、ぬる燗くらいで純米酒の良い味がわかっていただけると思います。
香りが高いお酒は、燗にすると香りが逃げていきますが、燗をしても香りが逃げないお酒というのが玉乃光のウリです。

皆さんにどうのように飲んでいただきたいですか?

私たちが一生懸命造ったということを知っていただいて飲んでいただきたいです。
純米吟醸以上のお酒を手造りでと掲げた当時、非常に手間暇がかかり、お休みもない、夜中も起きなければ、と他の機械化された蔵元さんを羨ましく思うこともありました。しかし、その努力を続けた結果、今皆さんに広くこの味わいを楽しんでいただけるようになりました。
良い原料を使い、手を使い、心を込めて一生懸命造っているお酒です。ぜひ、ゆっくりと味わっていただきたいと思います。

お米、麹、醪、全てに愛情を注ぎ、大切に大切に造られている玉乃光酒造。
一滴の大切さ、美味しさを感じるお酒ばかりです。

これからも、皆さんの想いと力を注ぎ、美味しいお酒を造り続けていただきたいと思いました。

最後に、玉乃光酒造の皆様、お忙しい中、取材ご協力いただき、有難うございました。