2016年8月、酒蔵王手門に行って参りました。
酒蔵王手門 宮崎県日南市北郷町大藤甲898-8
酒蔵王手門は、宮崎県日南市北郷町にあり、周囲は山に囲まれたのどかでおだやかな所。中心部を流れる広渡川という大きな川のほとりに蔵元は位置しています。
きれいで大きな建物が1棟。モダンな感じもあり、酒造りの重みを感じる風格ある入口。
昔は飫肥の町の中にあり、平成11年に現在地へ移転したとの事。
創業は明治28年で120年を超える老舗酒蔵です。
蔵の中に入ると、タンクが通路の両脇にズラリと並んでいます。
蔵の中は涼しく熟成に適した環境。
「まだ世に出てない原酒もあります」と杜氏の高橋さん。今後が楽しみです。
訪問した日は、黄金千貫の芋焼酎の仕込みです。原料の芋を食べてみました。
ホクホクで味もコクがありおいしい。
宮崎県産と鹿児島県産の黄金千貫を使っています。
この食べてもおいしい芋を破砕機で細かく砕きます。ドドドという大きい音と振動。その勢いで最終的にはかなり細かく砕かれます。
こちらは、ワイン酵母を使用した麦焼酎の1次仕込みタンク。
赤ワインのような色味が出ています。香りが一般的な麦焼酎よりかなりフルーティになるとの事。
続いて、メインブランドの芋焼酎『銀滴』の1次仕込みのタンク。
3日目と7日目を見せて頂きました。7日目になると、上澄みがゼリー状になるのが特徴。
そして樽貯蔵所。
大変めずらしく、芋の樽貯蔵があります。
シェリー樽とブランデー樽の2種類あり、華やかなハチミツの香りがするシェリー樽酒とどっしりしたカシスのような甘味がするブランデー樽酒。
それぞれ特徴があり、焼酎では樫樽貯蔵が多いので、大変珍しい。樽の本数は多くはありませんが、全て丁寧に管理されています。
そして蔵の中一角には甕貯蔵庫も。
貯蔵庫の中はひんやりとして涼しい。
暗い庫内ですが、かめ壷一つずつにスポットライトが当たり幻想的な感じがします。
赤芋焼酎が貯蔵されており、5年以上経っているとの事。
蒸留器は常圧蒸留器と減圧蒸留器の2機。河内源一郎社製です。
焼酎の造りの違いで常圧と減圧を使い分けています。
瓶詰めラインは、特にきれいで清潔に保たれています。虫などが侵入しないように、ラインをカバーで覆っており、さらにその周囲もカバーで覆われています。安全には徹底的に配慮しているとの事。
また蔵の横にはギャラリーがあり、酒蔵王手門の焼酎が並んでいます。
高橋杜氏のおすすめは、『ふじ銀滴』。黒麹で紫芋を使用した芋焼酎。
おすすめは、ロックまたはぬるめのお湯割り。高橋杜氏が理想とする焼酎造りは、「荒くてもきれいな焼酎」。芋本来の味わいの中に飲みやすさを追求しているとの事。
荒濾過焼酎にこだわりを持っており、技に磨きをかけています。
銀滴ブランドの復活
『銀滴』は昭和10年に昭和天皇に献上したという記録が蔵に残っています。
しばらく“封印”されていたブランドですが、地元に愛される本格焼酎を造りたいという社長さんの想いから、昭和10年当時のラベルを復活させました。
伝統ある銘柄から、斬新なデザインまで多岐に渡る酒蔵王手門の商品たち。これからも愛情たっぷりに様々な商品を産み出していっていただきたいです。