2018年1月、賀茂鶴酒造、蔵元酒造り体験に行って参りました。
賀茂鶴酒造 広島県東広島市西条本町4番31号
白壁が並ぶ酒処西条の街で、一番の広さを誇る賀茂鶴酒造。
1873年創業より、確固たる醸造技術のもと西条の酒造りを支えてきた蔵元の一つです。
今回、賀茂鶴酒造の8号蔵で体験させて頂いた洗米・製麹・醪の仕込みと酒造りの一連をレポートいたします!
体験その① 洗米・浸漬
お米に水を吸わせるほんの数秒の差異がお酒の品質に大きく影響するというとても重要な作業です。精米歩合や品種、その日の気温、水温など様々な条件により、水に浸す時間が変わるためベテランの技術が要されます。
その重要な作業で、まさかの時間計測を担当させて頂くことに。
一定の間隔で、お米を水の張った桶に移動させていきます。移動のタイミング5秒前から声に出し、カウントダウン。タイミングがずれたら、と今期一番の緊張が走る中、まさかの10秒も時間を早くカウントしてしまう痛恨のミス。
しかし流石蔵人の皆様、即座に「時間が短い」と気づいて頂き、事なきを得ました。危うくお米を台無しにしてしまうところで、改めて一つ一つの作業に真摯に臨むことの大切さを痛感しました。
体験その② 製麹
今回は大吟醸の麹の種付けという大変貴重な体験をさせて頂きました。
意外だったのが製麹というと素手のイメージでしたが、全員手袋を装着。
衛生管理上は元より、大吟醸などは特に香りが繊細なため、徹底して細心の注意が図られています。
種麹は非常に軽いため、空気の振動はご法度。
皆、息をひそめ静かに杜氏の種付けを見守ります。静寂の中、麹を振る「シャンシャン」という音だけが室に響きます。麹の声を聞いているような神聖な気分に。
製麹は温度管理が要。種付けが終わると、均一になるよう即座にもみ込み、蔵人達の迅速な動きが光ります。
私たちのような素人が貴重な大吟醸の種付けをさせていただいて大丈夫なのかと不安になりましが、そこは杜氏を筆頭に経験豊富な蔵人の皆様の完全なチームプレーがあってこそ。
お一人お一人の経験値、技術の高さを目の当たりにさせて頂きました。
その後も、切り返しや仲仕事など製麹の各段階に参加。製品によって、扱う量や製麹方法が異なりますが、どの作業においても、徹底した温度管理と迅速な動き、匠な技を拝見することが出来ました。
体験その③ 酒母
酒母の仕込みタンクへの投入作業。
ホースで流し込むかと思いきや、まさかの桶を使った手作業での移動です。
汲み上げた酒母を桶に受け、床から下の部屋の仕込みタンクへ続く投入口に流し入れます。桶一杯に入った酒母はずっしりと重く、2m程の移動や持ち上げだけで重労働。
タンクから酒母を汲み上げる作業は、見ているだけで筋肉痛になりそうな作業ですが、蔵人の皆さんは手慣れた様子です。
残りが少なくなると、タンクを傾け最後までしっかり汲み取ります。一滴も無駄にしません。
そして仕込み蔵。多くのタンクが並びます。
またまた重労働の櫂入れです。タンクは底深く、どんどん掛け米が投入され、徐々に櫂が重くなっていきます。奥まで突っ込み、引っ張る。簡単なようでコツがいる作業に5分と持たずバテてしまい、次々と交代を繰り返します。
蔵人さん達は、この作業をほぼ一人で行っていらっしゃるようで、つくづくお酒造りには体力が必要なのだと思い知らされました。
残念ながら、搾りを拝見することはできませんでしたが、こんなにも丁寧に、大切に造られたお酒はどんなに美味しいことか、想像に難くありません。
今回、造りにしっかり携わることで、言葉だけでは掴み切れない、熟練された技、卓越した勘の「光どころ」を肌に感じることができました。
最後に、賀茂鶴酒造の皆様、お忙しい中快く体験を受け入れていただき、有難うございました。
明るく見事なチームワークで今後も美味しいお酒を醸し続けて頂きたいです。