壱岐の蔵酒造のお蔵探訪記。前半は焼酎やリキュールの出荷前作業を見学させていただき、今回は焼酎造りの装置やタンクなどを見学します。
米麹の甘みと麦の香りが広がる壱岐の麦焼酎。500年の歴史に磨かれた伝統的な製法が認められ、1995年にはWTO(世界貿易機関)のトリプス協定によって「地理的表示」の産地指定を受けました。
壱岐焼酎の定義は、
1.壱岐で醸造、蒸留した焼酎であること
2.大麦3分の2、米麹3分の1の原材料比率で、壱岐の水を使用していること です。
原料の米は洗米、浸漬、水切り、蒸しの製麹の前処理がされた後製麹(せいきく)装置、麹室へ。蒸米を冷却してから麹菌を散布し、約40時間かけて製麹します。
大麦は洗麦、浸漬、水切り蒸しという工程で処理し、冷却して二次仕込みに使用されます。こちらは麦を蒸すドラムです。扉を閉め、外に蒸気がもれない仕組みになっています。
麹に水と焼酎酵母を加えて、約1週間発酵させる一次仕込みの後、二次仕込みへ。
二次仕込みでは一次仕込みで仕上がった一次もろみに水と大麦を加え、約2週間発酵させます。もろみの温度を下げ均一な状態にするため櫂入れ(かいいれ)を朝夕二回おこないます。もろみが表面乾燥して菌が繁殖するのを防ぐ、大事な作業です。
櫂棒は長く、結構重いです!実際まぜると負荷がかかるそう。
重労働でしょうね。。
米麹1トン、大麦2トンと仕込み水でできた醪(もろみ)二次仕込みタンクからポンプで2つの蒸留機へ。
蒸気を入れ始めて5時間位で蒸留します。昔ながらの常圧蒸留と減圧蒸留、2つの蒸留方法がありますが、減圧蒸留が主流だそう。
途中、今年蒸留した「なでしこ」の香りをタンクの上からかがせていただきました。香り系酵母使用の麦焼酎です。蒸留したては香りが立ちますが、寝かせることでやわらかくなるそうです。
二次仕込みタンクには7500~8000リットル入り、もろみのとき7000リットル、蒸留し40度の原酒になるときには2800~3000Lになるそうです。7トンのもろみから半分くらいの量しか焼酎ができないというのは驚きでした。
多くの人の手によって、丁寧に、様々な工程を経てできた焼酎をこれからも大切にいただこうと強く、思いました!
最後は樽貯蔵庫へ。新旧様々な樽が貯蔵されています。
奥にはリニューアルオープンに向けての仮設販売所と試飲コーナーがありました。焼酎が眠る樽を眺めながら試飲させていただくのは、なかなか味があっていいですね!
早速試飲させていただきました!おすすめは、こちらの3種
〇壱岐の島 伝匠
昔ながらの常圧蒸留。グラスに近づけただけで ふわっと 香りが拡がり、画像↑のPOPの通り、「麦の香りがすごいです!」。ロックでゆっくりいただきたい逸品です。
〇壱岐の島かめ貯蔵(壱岐限定)
「壱岐の島」をじっくりと甕の中で熟成させることで、まろやかな口当たり。すっきりしていて、水割りや炭酸水割りにもおすすめです!
〇大祖 原酒(壱岐限定)
こちらも伝統の常圧蒸留でつくる、元祖麦焼酎。麦焼酎の大元祖という誇りから命名されたそうです。42度原酒の濃厚な味わいでとろみが、感じられました。
製造工程を見学したあとにいただいた焼酎は、格別でした!
売店は6月19日にリニューアルオープンし、事前予約制で蔵も見学可能です。これから夏本番!壱岐へ、そして壱岐の蔵酒造へぜひ足を運んでみられてはいかがでしょうか?
また、毎年7月1日は「壱岐焼酎の日」です。壱岐島内では乾杯イベントが予定されています。多くの方の手で丁寧に造られた壱岐焼酎で乾杯!しましょう!
最後に、壱岐の蔵酒造の皆様、お忙しい中取材ご協力いただき有難うございました。