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【お蔵探訪記】浜嶋酒造に行って参りました。

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2025年3月、浜嶋酒造に行って参りました。

浜嶋酒造 大分県豊後大野市緒方町下自在381

澄みきった水路が巡る静かな町中で、完全手造りにこだわり少量生産でお酒を醸している酒蔵です。

只今酒造り真っ最中ということで、酒造りの工程をじっくり拝見させて頂きました!

■完全手造りへのこだわり

蔵に入って一番に目にする大きな和窯。朝一番でお米を蒸した後で湯気がもくもくと立ち込めています。この和窯の上にお米の入った甑を載せて蒸し上げていきます。

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蒸されたお米を放冷し、次は酒造りの肝となる製麹作業に入ります。

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重厚な造りの麹室の2重扉を開けると、そこには熟練した蔵人たちの真剣な姿が。

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室の中は麹菌の育成に適した30℃と高温。蒸米一粒一粒に均等に麹菌の胞子がつくよう混ぜていきます。この作業はなんと3日日間に及びます。

日本酒造りでは一麹二酛三造りと呼ばれるように、麹造りは一番重要。麹の出来の良さで酒質が左右するほど、酒造りではこの麹室が一番神聖な場所と言われています。

そのような神聖な場所を拝見させて頂きありがとうございました!

こちらが作業を経て造られた麹です。

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栗のような香りに噛めば噛むほど甘い味わい。お米がこのように変化するとは!とても驚きました。

 

そして次の行程。こちらは酒母、「酛(もと)」と呼ばれるアルコール発酵をになう酵母を培養する液体です。仕込んだばかりの酒母とそこから1週間の状態の酒母。

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アルコール発酵が進むにつれ、ぷくぷくからぽこぽこと泡の状態が変化します。柔らかなバナナの香りが鼻腔をくすぐり、幸せな気分に包まれます。

この酒母に麹、蒸し米、水を加えた醪(もろみ)です。この醪が発酵し、お酒の原酒となっていきます。

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酒母、醪の過程では温度管理が非常に重要。そのため浜嶋酒造さんでは外気温が低い10月から2月後半までのお酒造りをされています。

そしてこちらが最大の武器「槽搾り」(ふなしぼり)です。この醪を搾る機械は骨董品と呼ばれるほどの代物だそう。

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浜嶋酒造さんでは全てこの「槽搾り」という手法でお酒を造ります。

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出来上がった醪を酒袋に入れ、熟練の技で口を折り、槽の中に重ねて行きます。もちろん全て手作業で、その数300袋!

積み上げられた酒袋からは自重で3分の2ほどお酒が搾り出て、その味わいはとてもやさしい味わいとのこと。

その後、上から圧を掛けお酒を搾り、さらに攻め槽と呼ばれる手法で搾ります。攻め槽とは右横の槽に全て酒袋を積み替える手法。この搾り一連の作業で3日間。

「時間が掛かるがこれが蔵の味」とのこと。

どの工程にも手造りへのこだわりが伝わってきます。

■造り、水、米 全ての要素へのこだわり

蔵が位置する緒方町は水の豊かなところと言われています。

日本酒造りには水の味が重要。浜嶋酒造さんでは地下60mから水を汲み上げています。その掘削作業中には大昔の阿蘇山噴火によってできた岩を2枚も打ち抜いたそう。

造りの要となる井戸の上には神棚が祀られ、まるでお酒造りを静かに見守っているようです。

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そして水とともに辺り一面に広がる田畑。

自ら耕し、自ら醸すという意味の「自耕自醸」。酒造りに使用するお米のほとんどを蔵人たち自ら育て、気温が上がってお酒を造れない時にお米を作る半農半造の体制をとられています。

造り、水、お米、日本酒造りの全ての要素に信念を持ち、こだわり続ける浜嶋酒造さんのお酒、その特徴を一言で表すなら「王道食中酒」。

最後まで飽きずに飲める味をモットーに食事との食べ合わせを重視した味わいが蔵の魅力となっています。

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もちろん見学の後に自慢のお酒を試飲させて頂きました!

味わったのは新酒の5種。フルーティな香りが特徴の大吟醸や、辛口と味わい様々ですが、全て喉を通るとすっきりとしていて、なるほど「王道食中酒」。食中はもちろん、食事の後もゆっくりと楽しみたい味わいです。

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味わったのは、こちら2023年にオープンした発酵食と集いの庭「鷹来屋ガーデンささら」。

ランチやカフェの利用だけでなく、ワークショップなども開催されています。

昔ながらの手造りにこだわり、そしてお酒や発酵食の良さを発信するために新しいことに次々とチャレンジされている浜嶋酒造さん。ぜひまたお蔵探訪をさせて頂きたい美味しい、楽しい蔵元さんです。

最後に、浜嶋酒造の皆様、お忙しい中、取材御協力いただき、誠に有難うございました。