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【お蔵探訪記】藤居醸造に行って参りました。

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2025年3月、藤居醸造に行って参りました。

藤居醸造 大分県豊後大野市千歳町新殿150−1

大分の南部にあたるくじゅう連山、阿蘇山、祖母・傾山系の山々に囲まれた中に位置する藤居醸造。

昭和4年創業以来、焼酎の完全手造りを貫きながら、クラフトビールも手掛ける新旧融合の蔵元です。

この日は週末に向けての「巡蔵」と呼ばれるイベントに向けてのご準備のため、あいにく造りはお休みでしたが、焼酎蔵、クラフトビールブリュワリーを見学させて頂きました。

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焼酎蔵に入るや目の前に現れたのは藤居醸造さんの代表銘柄「泰明」が記されたタンク。光り輝くタンクにいきなり圧倒されました!

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奥に進み、麹室を見学。中央が真っ黒になっているのは長年製麴をする中で低温火傷のような状態で色づいたそうです。長年の歴史がひしひしと伝わります。

続いて一次仕込み中のタンクが眠る蔵。

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こちらは仕込蔵。

一次仕込みと呼ばれる工程で水、酵母、麦麹で良い酒母をつくります。
そして二次仕込みで一次仕込みにさらに主原料の麦を足していきます。発酵に必要なクエン酸が生成されます。
徐々に発酵が活発化していき、覗いた醪(もろみ)はブクブクと泡が立ち、本当に生きているよう。

発酵中の醪
発酵中の醪

 

そしていよいよ焼酎造りに欠かせない蒸留器の登場です。

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まずこちらは減圧蒸留器。「減圧」とあるように蒸留器内を真空状態にすることで沸点が下がります。この中では上空15,000mほどの気圧になっており、醪の沸点は40~50℃。気化した醪がコンデンサーを通して冷やされ液状に垂れてきたそれが焼酎の原酒となります。
減圧で蒸留された焼酎はこげつきの少ないピュアでクセのない味わいが特徴といい、大分は減圧の焼酎が主流ということです。

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こちらがもう一つの蒸留方法。常圧蒸留器です。沸点が100℃となるため、香ばしさや飲み応えのある味わいが特徴となります。冷却機で冷やされた原酒が管を通して地下タンクに溜まります。

ここで蒸留器のおもしろポイントを教えて頂きました!

蒸留器の上部から伸びた管のL字に曲がった箇所。(ちょうど柱に隠れて見えず)ここの形で味わいに大きく変化が現れるとのこと。右肩下がりでは香りを残しつつ、飲み応えが出てくる。

お蔵見学をする際はこの角度を見て試飲するとさらに楽しいですよ、と教えて頂きました。

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そしてお次はクラフトビール工房「FUJII BREWERY」の見学です。

藤居醸造さんでは2022年から醸造をスタート。麦焼酎と原料を同じくするビール。麦と麦芽のつながりから、麦の良さを知ってもらう、焼酎を飲むきっかけとなるようにとの想いでビール造りをされています。
銘柄は「IDA」。蔵の位置する千歳町は遠い昔井田村と呼ばれており、その名を残したいという思いからのネーミングだそうです。

さていよいよお楽しみの試飲です!

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蔵の向かいにこちらも新しくオープンしたビアホールで出来立てビールです。

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IDAビールのメインとなる「ラガー」「ペールエール」「IPA」の3種を頂きました。

製法の異なる3種。

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まずは左のラガーから。ラガーはとてもスッキリした味わいです。それは低温でゆっくりと発酵させるから。ペールエール、IPAが3週間に対しラガーは6週間も要するそうです。

続いてペールエールを頂きます。グラスを近づけただけで香りの違いが明白です。ホップの香り、フレッシュさがまさにクラフトビールと感じる味わい。

そして最後にIPA。先ほどのペールエールよりさらにホップを使用しているため、ホップの香りがさらに強く、心地よい苦みも感じます。

面白いことに3種飲み比べてラガーを飲みなおすと、先ほどは気づかなかった芳醇な味わいを感じ、スッキリしているからこそ現れる麦の味わいを感じました。 

なかなか3種同時に、という機会もあまりないので、製法について詳しく説明を聞きながら飲み比べると色々な発見があり楽しみも倍増しますね。

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こちらのビアホールでは出来立てのクラフトビールやおつまみが楽しめ、工房オリジナルのグッズなど購入できます。大分にお越しの際は自然に囲まれながらの絶品クラフトビールをぜひ楽しみください!

最後に、藤居醸造の皆様、お忙しい中、取材御協力いただき、誠に有難うございました。