2015年4月、大分県国東市、萱島酒造に行ってきました。
萱島酒造有限会社 大分県国東市国東町綱井392-1
日本酒「西の関」で有名な萱島酒造は国東半島の中央最東端に位置しています。
ここ国東半島は別府湾、伊予灘、瀬戸内海、周防灘と海に囲まれ、太刀魚やタコなどが有名です。
そんな海産物に恵まれた土地で酒を醸している萱島酒造のお酒は、海の幸に非常に相性の良いお酒としても有名で、
代表銘柄「西の関」は西日本を代表するお酒(横綱)になりたいという思いから命名されました。
今回は、そんな大分を代表する萱島酒造の蔵を萱島専務(TOP画像:左)に案内して頂きました。
創業は明治6年。蔵にはその歴史を物語る品々がたくさん。
こちらは歴代の品評会の賞状。最も古い賞状は、明治40年!もちろん本物です。
歴史ある賞状たちを拝見しながら、室(むろ)、仕込蔵へ。
残念ながら、造りはされていませんでしたが、一歩足を踏み入れるとふんわり麹の香りが漂ってきました。
全体的にヒンヤリとした室。ここ国東は、瀬戸内海の風もふき、非常に山陰に似た気候になっているそうです。
まず目についたのは、神棚。なんとこちらは社員の方の手造りということ。その精巧さにも驚きましたが、とてもアットホームな印象を受けました。
そして、一途瓶に入ったお酒。こちらは今年造ったお酒としてこのまま貯蔵されます。
こうして毎年貯蔵用に保存されているお酒は約30年間分もあるそうです!時に味わいの変化をチェックしますが、基本的には開封することなく眠り続けます。
「西の関 昭和63年製超辛口古酒」はその名の通り、昭和63年に造られ、このように貯蔵されていたものが、23年後検査の検査で、とっても旨味のある古酒に変身していたことから製品化されたそうです。
こちらの古酒が入った瓶は、萱島酒造のシンボル「煙突」を模したもの。大正三年に造られたこの煙突は、煉瓦造りの平面八角形という非常に珍しい形状をしており、現在使用されてはいませんが、平成10年に国登録有形文化財に指定され、蔵の歴史を物語るシンボルとして大切に保存されています。
残念ながら八角形の瓶がなく、商品は六角形の瓶に入っているそうなんですが、皆さんの煙突への深い愛着が感じられます。
仕込みタンクは、ホーローからステンレスへ移り変わっている過渡期ということ。
タンクの一番下に書いている「S.37」(画像:左)や「S.57」(画像:右)というのは、年度を表わしているんですね。
ちなみに画像左は吟醸酒が保存されているタンク。この中に、あの美味しいお酒が詰まっていると思うとワクワクします。
さて今回お話を伺ったのは、代表取締役萱島社長。
西の関と言えば、プロが選んだ鰻に合うお酒(日本名門酒会主催)で毎年1位を獲得し、2015年で10連覇という偉業を成し遂げる程の実力を持ったお酒。高評価を受ける味わいへのこだわりについて伺いました。
「目指すのは綺麗ではなく、味のある酒」
日本酒と言うのは、料理に合わせてなんぼです。最近は綺麗な味のお酒が多い傾向にありますが、どうしても料理の味に負けてしまうことがあります。味の幅があり、飲み応えがあるからこそ、淡白な魚にも、きたえられてしっかりとした味わいの魚にも合うと思います。
辛口、甘口は関係なく、2杯、3杯と喉を通る味が一番。「酔っ払っても飲める酒」が一番旨い酒です。
「お客様の舌を信じる」
愛飲により生まれた味覚の習慣性は、何よりも正しい評価です。毎日飲んでいただいてるお客様は、すぐに味の変化に気づきます。我々蔵人でも気づかなかったような、ちょっとした変化をお客様から耳にすることがあります。非常に感謝すべきことです。お客様の舌を信じて酒造りをしています。
とても暖かい笑顔で、笑いを交えながら語って下さった萱島社長。蔵で働く方々はもとより、近所の皆さんとの交流も非常に大切にされていることがわかりました。
国東という自然に囲まれた土地の中で、長年に渡りお酒を醸し続けてきた萱島酒造。その人情深い蔵人の皆さんの様子が、お酒の深い旨みに表れていると感じました。
これからも、西の横綱(代表)として、美味しいお酒を造り続けて頂きたいです。
この度は、お忙しい中、取材協力頂き有難うございました。