世界の銘酒に仲間入りした本格焼酎があることをご存知ですか?
1995年、世界貿易機関(WTO)のトリプス協定において、「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「琉球泡盛」(泡盛)「薩摩焼酎」の4つの産地は、<地理的表示の産地指定>を受け、国際的にブランドが保護される事となりました。これにより、その地域で生産され、決められた製法で造られたものでなければ、これら産地を冠した呼称を使う事が出来ません。
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泡盛の歴史 ~戦火を乗り越えた泡盛~
■黒麹菌が支えてきた名酒、泡盛
沖縄と言えば泡盛です。南国の日差しの中、喉に響く力強さ。
ウチナンチュー(沖縄の人)の生活の一部であり、ナイチャー(本土の人)もその魅力に引き付けられ、今や『琉球』泡盛と原産地呼称を認められた世界の名酒です。
しかし、その歴史は波乱に満ち、過酷な時代を乗り越えてきたのです。
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蒸留
焼酎は酒税法上、連続式蒸留焼酎(甲類)と単式蒸留焼酎(焼酎)に分けられます。(※)この2種類の焼酎の大きな違いが蒸留方法です。
甲類焼酎は、連続式蒸留器、乙類焼酎は単式蒸留器で蒸留されます。乙類焼酎の蒸留に使う「単式蒸留器」は、もろみを入れる蒸留釜とアルコール蒸気を冷却する冷却器、またそれを繋ぐパイプから成ります。
この単式蒸留の方法には、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」があります。
常圧蒸留・・・原料の個性が豊か
普通にやかんでお湯を沸かすように、釜内のもろみに蒸気を当てて90〜100℃になるまで加熱します。蒸留中に焦げ臭の元となる「フルフラール」や沸点の高い成分が一緒に抽出されます。その為、原料特有のコク、旨み、芳醇で豊かな風味が色濃く残ります。原料の香りが十分に楽しめます。昔から行われている伝統的な方法。
減圧蒸留・・・淡麗系ソフトな味わい
蒸留器の釜内の空気を抜いて気圧を下げ、低い温度(40〜50℃前後)で蒸留する方法。もろみを低い温度で沸騰させると、原料の特性をあらわす香気成分を含む高沸点成分の抽出が少なくなります。その為、もろみのやわらかな香りがそのまま生かされます。雑味成分が少なく、淡麗系のソフトな味わいに仕上がります。
減圧蒸留は、1975年頃から導入され始めた新しい技術です。そのクセのない飲みやすさで、それまで九州地方を中心に飲まれていた本格焼酎が、全国の幅広い層の人達に飲まれるようになりました。
今日では、本格焼酎自体の消費が大きな広がりをみせ、常圧蒸留の個性が豊かな焼酎にも注目が集まるようになりました。
「常圧蒸留」「減圧蒸留」、この2つの蒸留方法があるからこそ、本格焼酎は味のバリエーションに富んでいるのです。
※2006年5月、酒税法改正により品目区分が一部変更になっています。(以下の通り)
※「単式蒸留焼酎」とは従来の「焼酎乙類」のことです。従来の表記も認められているので実際の商品ラベルには「焼酎乙類」「単式蒸留焼酎」「本格焼酎」等表記されています。
※「連続式蒸留焼酎」とは従来の「焼酎甲類」のことです。従来の様に「焼酎甲類」と表記される場合もあります。
※ここでは、「焼酎乙類」「乙類」、「焼酎甲類」「甲類」と表記します。
詰口表示とは
皆さんはラベルに日付が表示された焼酎や泡盛を見たことはありますか?
この日付は瓶詰めをした年月日であり、決して賞味期限を表すものではありません。
本格焼酎・泡盛は食品衛生法で賞味期限等の表示はしなくても良い事になっていますが、瓶詰めした日付を詰口年月日として自主的に表示している蔵もあります。
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チーズと大葉のササミロール
貯蔵方法
一般に蒸留酒は貯蔵すると美味しくなるといわれます。酒質の安定化を計る為、本格焼酎は蒸留してすぐに出荷されることは稀です。(芋焼酎は出来たばかりの新酒を嗜む慣習があります)
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焼酎の華とは
ごく稀に、焼酎の中に白く小さな塊が浮く場合があります。これは「焼酎の華」と呼ばれ、焼酎の中に含まれるフーゼル油という旨味成分が温度変化によって発生するものです。
普段、フーゼル油は焼酎の中に溶解しています。九州の温暖な地域ではめったに現れない現象ですが、冬場の寒冷地では、フーゼル油が固まって焼酎に浮くことがあります。
精密な濾過などで除去することもできますが、これを行うと焼酎本来の旨味を損なうことになります。
「焼酎の華」は焼酎の品質に全く問題がなく、人体へ悪影響を及ぼすこともありません。瓶を軽く振るか、温めると溶解します。
この「焼酎の華」が出るものを、美味しい焼酎の証として好む焼酎ファンもいます。
全麹仕込みとは
多くの焼酎は二段階で仕込まれます。
まず一次仕込みで麹に水と酵母を加えて発酵させて一次もろみを造り、次に二次仕込みで一次もろみに水や主原料の米、芋などを投入して発酵を進めます。
このようにして主原料が発酵できるようにするのが一般的な仕込みです。
一方、全麹仕込みとは、麹のみを原料にして仕込む手法です。
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初垂れ(ハナタレ)とは
焼酎のモロミを蒸留する過程の各段階でとれる原酒を、「初垂れ(ハナタレ)」「本垂れ(ホンダレ)」「末垂れ(スエダレ)と言います。
初垂れは初期段階で蒸留器の垂れ口からとれる焼酎のため、アルコール度数が非常に高く、60度以上あります。
初垂れはこれを割り水して45度以下(※)に調整したもの。香気が高く、焼酎の旨味成分が凝縮されています。口に含んだときに感じられる刺激と、スカッとする爽快感が魅力です。
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新焼酎とは
芋焼酎には、ワインのヌーボーと同様に「新焼酎」があります。
新焼酎とは、一般的にはその年の秋に収穫された芋で、今年初めて製造した焼酎を年内に販売するものを呼んでいるようです。
ですから、新焼酎は大量に生産されることは少なく、期間限定に近い形での扱いになっています。
その味は採れたての芋の旨みが多く含まれ、若く華やいだ香りや甘さが高く、原料の持ち味を一番活かした焼酎と言われています。
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