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■西 陽一郎 氏 略歴■
昭和46年10月10日生まれ
平成 6年 東京農業大学 醸造学科 卒業
平成 7年 西酒造株式会社 入社
平成14年 西酒造株式会社 代表取締役 就任
西酒造に入社後、「富乃宝山」をはじめ、「吉兆宝山」
「天使の誘惑」「宝山 芋麹全量」など数々の明確な
主張を感じさせる焼酎を世に送り、業界の革命児と言われ、
現在に至る。 |
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※講演の内容を要約したものです。 |
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焼酎造りというものは、それぞれの蔵元さんがそれぞれの考え方でその蔵の色と匂いで取り組んでいるので、焼酎造りはこうあるべきだというものはありません。それぞれの蔵元の熱い想いが重なり合って今の焼酎ブームの原動力になっていると思います。私も焼酎造りに携わってから11年目になりますが、これまでどのように焼酎と付き合ってきたかということを今日はお話ししたいと思います。 |
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私は最初、東京の問屋さんで働いていました。当時は地酒ブームだったので、私は芋焼酎もメジャーにしたいと考えていましたが、周囲は芋焼酎は市場が小さいので無理だろうという雰囲気でした。しかし、私は市場は自分で作っていくもの、現状に固執しているのではなく自分で切り拓いていくものであり、問屋もそうあるべきだと強く感じました。
鹿児島に帰って蔵元に入ってからも、その思いは消えませんでした。自分で造った焼酎を持って小売店を回り、置いてもらえるように一本一本お願いしました。そのとき初めて営業しましたが、大半の小売店さんはお金の話をされ、味や香りの話を期待しましたがそういう話は少なかったです。今自分を支えてくれているのは、そのとき自分を叱ってくれたり商品についてアドバイスしてくれた問屋さんや小売店さんなのです。
ところが、今すごく情報が氾濫していて一般の消費者にも簡単に情報が入るようになり、問屋さんが焼酎を育てることを忘れている部分があるのではないかと感じます。その商品の背景にある蔵人の想いを伝えていけるような血の通った流通網を作っていくことが凄く大切だと思います。逆に、流通の方々からも勉強させてもらいながらやっています。
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昨年、『情熱シリーズ 宝山 白豊』『情熱シリーズ 宝山 綾紫』『情熱シリーズ 宝山 紅東』を出しました。これは、原料芋にそれぞれさつま芋の新種である白豊・綾紫・紅東を使用しています。芋にも色々な芋があり、香りや味わいがそれぞれ違います。焼酎は、原料をはじめ貯蔵方法など、色々な可能性のある酒ではないかなと思っています。
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この頃、焼酎ブームと言われ"まぼろし"とか"プレミア"という言葉をよく耳にしますが、私は"まぼろし"とか"プレミア"という言葉はあまり好きではありません。こんなことを言うと拡大解釈される人もいるかもしれませんが、むしろ"まぼろし"などないと思っています。どの蔵元もお客様に飲んでもらうため一生懸命に造っています。当社は今、140軒の特約店さんと2軒の問屋さんでやっています。うまくディスカッションでき、心の通い合う人たちとの付き合いが増えたときにまたちょっと増設し、自分の歩幅でゆっくりと増石できればと思っています。売るための設備投資ではなく、酒質の安定を図るための設備投資が大事なのです。焼酎は非常にクオリティーの高い酒であり、蒸留酒の中でも唯一食中酒として飲めるというところで非常に特化している蒸留酒ではありますが、私は焼酎が一番だとは思っていません。私自信、ワインや清酒も飲みますし、一般の消費者も色々な酒を飲むわけですから、そういう色々な酒がある中での芋焼酎のあり方というものを模索していきたいと考えています。私達は、造ることしかできません。売るのは問屋さんであり小売店さんです。今のような状況だからこそ謙虚に造りに専念し、自分達の姿勢で自分達の色と匂いで表現できる酒を、応援してくれている問屋さんや小売店さんに伝えてもらう、この在り方の中で石数を伸ばしていきたいです。そして、お客様の手に届くくらいの量を作っていきたいです。
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「芋」という原料で何が表現できるかということにこれからも挑戦していき、自分達の蔵を理解してくれる流通の方々と一緒にこれからも歩んでいき、形にできたらなと思っています。これからもずっと焼酎造りに粛々と励んでいきたいと思いますので宜しくお願いします。今日はありがとうございました。 |
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