人気酒造株式会社

【お蔵探訪記】人気酒造に行ってきました。

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2015年9月、福島県二本松市、人気酒造に行って参りました。

人気酒造株式会社 福島県二本松市山田470

創業は1897年。福島の地で長年酒造りに携わってきたプロが集まってつくった新しい蔵です。

人気酒造は東日本大震災に被災され、2011年10月現在の土地に移転しました。人気酒造のお酒は二本松の名水と環境からしか生まれない、と移転後も二本松の土地にこだわり、お酒を造っている蔵元です。

震災後1年、人気酒造の復興の様子を取材させていただきました。
その模様はこちらからご覧いただけます。
東日本大震災から1年 被災蔵元復興の軌跡(焼酎紀行インターネットフェスタ2012へ移動)

あれから3年。今回、新しくなった蔵を訪問させていただきました。

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入ってビックリ!本物のレースカーがお出迎え!
人気酒造のスパークリングはスーパーフォーミュラ表彰式の勝利の美酒として使用されています。

はんじめに佐藤営業本部長に試飲も交え、お話しを伺いました。

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「ワイングラスでおいしいアワード」で最高金賞を受賞したスパークリング清酒に始まり、自慢の人気一シリーズ各種、そして焼酎、リキュールと試飲させていただきました。

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「吟醸酒しか造らない蔵」「手造りしか造らない蔵」と銘打っている通り、清酒は吟醸酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒・大吟醸酒のみ。通常は二回行う火入れを一回しかしないこだわりの造りにより、どのお酒もフレッシュ感が味わえます。
手造りへのこだわりは清酒だけではありません。もちろん焼酎、リキュールと全て手造りです。しかも焼酎は麦、芋、米、そば、そしてリキュールは梅酒、ゆず、桑の実ととても多くの種類があります。

人気酒造の面白いところは、種類の多さだけでなく、コンセプトの多様さ。
被災地支援に役立てられるウルトラマン基金シリーズや、福島県産の黄金千貫やそばを使った焼酎や、特産品を原料とした焼酎など、一つ一つ原材料やコンセプトにこだわりと面白さがあります。

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そして何より驚いたことが、一つ一つ全てが違うということ。例えば、通常の梅酒とウルトラマン基金の梅酒。商品名やラベルが違うだけではありません、中身から全てが異なります。

特別仕様でパッケージだけ異なるといった商品は市場で良く見られますが、人気酒造では絶対にそれはしないというこだわり。

正直、こんなに種類が多くて造りは大変なのでは、と感じてしまいますが、

小さな蔵で少しずつ造るからこそ、様々な挑戦できるんです。しかし新しいことに挑戦しつつも絶対に「中身から本物志向」というこだわりは譲りません

と謙虚ながらも熱い想いを語っていただきました。

そして次に、一番懸念される福島の風評被害について、お話しを伺いました。

依然として、福島に対する風評被害の影響は大きいですか?

少なからず、影響はあります。しかし、原材料の一つ一つはもちろん、造られたお酒も瓶詰め後、全て検査しています。絶対に安全だと認められたものを、自信を持ってお客様にお届けしています。安全だからこそ、福島の原材料を使うことにこだわりもあります。福島でできた農産物も、お酒も安全で良いものだと伝えていきたいという想いもあります。

この言葉に、非常に心強い想いを感じました。自分たちが造り出す商品へはもちろん、福島という土地への非常に深い愛情。その証拠に人気酒造で働く方のほとんどは二本松出身の方だそうです!
お酒というのは、水、気候といったその土地の環境に多く影響されます。この土地への絶対の自信と愛情があるからこそ、良いお酒が生まれるのでしょうね。

続いては、蔵内を見学させていただきました。案内していただいたのは、製造の高橋さん。もちろん高橋さんも二本松のご出身。

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まずは、こちらは焼酎の蒸留機。

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「日本一小さな蒸留機です」と佐藤本部長は笑って紹介していただきました。しかし、小さいからこそ、丁寧な商品が生まれ、そして柔軟な対応ができることで、多彩な商品が生まれているのだなと感じました。

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そして、こちらは新設の麹室。

移転をした際に、出来る限り以前の蔵のものを使用しましたが、どうしても持って行けなかったのが麹室と釜場だったそうです。
そこで麹室と釜場を新設することとなったのですが、なんと新設してから2年連続で全国新酒鑑評会で金賞を受賞したそうです。

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丁寧に造られた麹で仕込んだ醪がこちら。純米吟醸の仕込み2週間目の醪です。ぷくぷくと泡が湧き立ち、麹の良い香りが立ち込めてきます。

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そしてこちらが、大きな木桶。大人が5~6人はすっぽりと入りそうな大きさです。この木桶で仕込んだお酒がこちら。

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吟醸香にふんわり広がる木の香りが非常に特徴的です。
高橋さんも「絶対に美味しいですよ」と自信を持っておすすめして下さいました。

蔵の皆さんのお酒、そして福島の土地への愛着は一入。

今回訪問させて頂き感じたことは、物事を伝えていくことの大切さ。
造り、味へのこだわり、そして安全性への絶対の自信を持たれている人気酒造の皆さんの現状と想いが、この探訪記を通じて一人でも多くの方に伝わることを願っています。

最後に、人気酒造の皆様、お忙しい中、取材ご協力いただき、有難うございました。これからも美味しいお酒を造り続けていただきたいです!